22話 ページ23
「アズールパイセンごめんなさい」
「………………まさか……」
額に手を当てて呻いているアズール。
隣でフロイドは笑っていて、
ジェイドは
少し焦りの滲んだ笑顔で電卓を叩いていた。
「まったく、どう作ったらこうなるんです」
「むしろ料理できそうに見えますか？」
あの後モストロ･ラウンジとは
オクタヴィネルが経営するカフェの事だと言われ、
なし崩し的にキッチンで働いてみろと言われ。
「はいどーぞ」
とフロイドに手渡された
レシピとにらめっこしながら作ってみたのだが。
「Aさん、
きちんと分量を計りましたか……？」
「計りましたよ見てくださいよシンクを！！」
「見るからに量が多いのですが」
「調味料のすり切りを
ボウルの上でやったら手が滑って入れすぎて
仕方なく比で計算し直したんですけど
そしたら焼く時間も増えるかなぁ
とか思って放っておいたらこのザマですよ」
「ドヤ顔で言わないでください……」
アズールたちが辟易した顔を浮かべているのは
とてもテンションが上がるのだけれど。
「Aさんは感情が隠せませんよね」
「え゛っ？｣
「あは、カジキちゃん紫になってる〜」
「まじすか」
でもこれ全部食べられてたんだよなぁ。
真っ黒に焦がした
成れの果てを眺めて私はため息をついた。
「あれ、戻ってく」
「ポーカーフェイスが
出来ないみたいですね私は」
いちいち実況してくれる
フロイドの言葉に適当に返事して、
仕方なく。
本当に仕方なく2人に頭を下げた。
「食材無駄にしてごめんなさい」
「いえ……」
「むしろ理想を抱いていた我々の落ち度ですから」
「めっっちゃトゲのある言い方すんね」
というかなんでわざわざキッチンなのだろう。
別にホールでいいじゃないか。
注文取って料理を運ぶくらいはできる。
だってフロイドしてるんでしょ？？
ほらエプロンしてるし。
「…………(どうしますか？)」
「………………(カジキちゃんホールかぁ)」
「…………(少しでも
人目に触れない場所が良かったのですが)」
「(この際仕方ありませんね。
ラウンジにいてくれさえすればとりあえずは)」
「何アイコンタクトしてんですか」
「分かりました。
もうあなたに
キッチンで働いて貰う訳には行きません」
「まぁでしょうね」
「オレと一緒にホール行こ〜」
「フロイドパイセンと一緒は嫌です。」
「まぁそう言わずに。
明日からお願いしますよ、Aさん。
授業終了次第、お待ちしております。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 806人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よく骨を折る田中 | 作成日時：2020年6月30日 22時
