13話 ページ14
「ライオン先輩コツを！！」
「あ？
……………………頑張れ」
「そんな殺生な！！！」
ずべ、どて、どすん、べち！
とこけっぱなしの私をみて、
ライオン先輩は大あくびをした。
「つーかお前、髪切ったんだな。」
「ほんとっすよ、あんなに長かったのに。
シシッ、失恋でもしたんすか？」
「入学して1ヶ月も経ってないのに、
いつどこで俺が失恋するんですか」
それもそうだな、と笑うライオン先輩。
「線も細ぇし、
女見てぇだと思ってたからよ。
まぁ匂いは男だけどな」
「えっ？！」
「オレ達は鼻がいいっすからね」
シシッと特徴的な笑いを浮かべ、
自分の花を指し示すラギー先輩。
初耳である。
え、匂いで性別把握ができるの？
私の匂い男なの？！え？？？？
魚だから分からないだけ？！
え、でもバレてないんだからセーフ？？？
結果オーライ？？
「あ、そういえばA
今日の分のドーナツ貰ってないっス」
「あ、すいません」
ガサ、とカバンを漁ってドーナツを取り出した。
「いつもお世話になってます」
「いやいや、
こっちも経済的に楽してますんで」
と恒例になりつつあるドーナツ献上を終えて。
「そういえばライオン先輩は、
なんで私の面倒見てくれてるんですか？」
ラギー先輩に頼んでから少し、
ライオン先輩は気づいたらそこにいた。
「あ？
……なんでもいいだろうが」
「良くないですよ〜！！
別に何があるでもないのに、
なんで来てるんです？？」
いい娯楽とか言われたらどうしよう。
泣ける。
なんかライオン先輩って高貴そうだし。
「……別に。
ラギーがお前のことばっか話すから
ちょっと興味が出ただけだ。
来て見りゃとことん不格好だし……
お前が嫌ならもう来ねぇよ」
すく、と立ち上がるライオン先輩。
「え？！あ、ちょ、」
じゃあな、と
ラギー先輩を一瞥して歩き出してしまう。
何か失敗したし向こうは勘違いしてるし！
「ちょ、」
ラギー先輩も慌てたように口を開くのが見えた。
「っ、待ってくださいよ！！」
このまま誤解したままはだめだ。
なんだってそんなにも寂しそうな顔なのだ。
多分なにか地雷を踏み抜いたのか、
それともなんなのか。
確かに思い返せば言い方に
別に来なくていいのに
的ニュアンスが含まれていたと
取られても仕方がない。
仕方がないけど、
私はそんなこと一つも思ってない訳で！！！
「ライオン先輩！！！！！」
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作者名：よく骨を折る田中 | 作成日時：2020年6月30日 22時
