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10話 ページ11

「???
走る練習をして歩けなくなっては本末転倒ですよ」

「歩けます。大丈夫。」

ほら、と足を踏み出すと
隣からジェイドに支えられた。

大丈夫だって。

「カジキちゃん馬鹿じゃねーの?
頑張るのと無茶するのは違うからー」

ヘラヘラ笑いつつも
フロイドは真面目なことを言った。

珍しい。

「あなたが
走れるようになりたいのは知っています。
しかしあなたは走る才能が無さそうだ」

「ひどい」

「僕たちはもう少しまともでしたよ、陸でも」

「オレなんかバスケ部だし〜」

バスケ部?!
……絶対スタメンじゃないんだろうな……

というかアズールに負けたかもってのは無理!
要領悪い選手権私の中で堂々の1位なのに!

「…………Aさん」

ふい、
と上を見れば3人とも
珍しくまともな顔をしていた。

「カジキちゃん足治さねぇと
オレ追いかけられもしねーじゃん」

「えっ、だから最近おとなしかったの?!
お腹でも壊してたのかと思ったわ。
フロイド拾い食いしそうだし」

しねーしーと言っているが、
こいつはやる。多分。
いやさすがにしないか??
そこは信じてやるか???

「…………珍しく
心配してもらったってのは分かりました。
でも、いいです。
ライオン先輩と約束したんで」

「ライオン?」

「先輩?」

「だれ?」

「えっとあの、長い髪の三つ編みの耳の」

名前なんだっけ!
ラギー先輩いつもなんて呼んでるかな!

「ああ、サバナクローの。」

ジェイドが呟く。

「ああ、ライオン。なるほど。」

どうやら伝わったらしい。

「ライオン先輩が、
『お前とことん覚えられねぇんだから
それだけ怪我すりゃいやでも体が覚えるだろ』
って言ってまして。」

さすがに走れなさすぎると言うのは自分でも
自覚し始めている訳でして。

それでも、呆れ顔だけれども、
ライオン先輩は怪我を見てそういう。

ラギー先輩はいつも転けたら
手を貸しに走ってきてくれる。

無理なんじゃない?とは言われたことは無かった。
もうやめにしようとも。
1日たりとも練習に来なかった日も。


「だからいいです。頑張れます」


そしていつか、
ライオン先輩の耳を触りまくるのだ。
約束したのだ。
ラギー先輩のも触るのだ。
あとしっぽにも手を出してみたいし。

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作者名:よく骨を折る田中 | 作成日時:2020年6月30日 22時

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