蜘蛛は蜂を狩るか、狩られるか【スパイダーマン】 (ページ8)

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久しぶりに行くエリーのアパート。
確か前に行ったのはエリーがあそこに引っ越す時だったか…。

(いや、違う。僕は結局荷解きの手伝いに間に合わなくて行ってないんだ。)

つまり、場所は分かるけど中までは知らない。

(てかエリーって僕のこと苦手なんじゃなかったかな？)

エリーは時間にルーズな人があまり好きじゃなくて、ハリーの様な人が好みだった。

(分からないけど、今まで付き合ってた人がそんな感じだった…気がする。)

「信じてもらえないと思うけど…この前スパイダーマンに会ったの。私が誘拐されようとしている時助けてくれたのよ。」

あの時は警察の無線が入らず、しかも屋上からシェルターに入ろうとしていたから気付くのが遅くなってしまった。
…いや、場合によってはジャストタイミングだったか。

「それは良かった。君が誘拐なんてされたら…本当、どうなっていたことか。」

「本当ね、想像したくもないわ。」

エリーのアパートまであともう少し…の所で僕のスマホが元気に鳴り出した。
スマホの画面を見ると"ユリ"の２文字が。

(うわっ、バッドタイミング！事件じゃないと良いんだけど。)

エリーも僕のスマホの着信音に気付いたのか、出るように頷いてくれた。
僕はエリーと少し距離を置き電話に出た。

電話の内容はショッカーが脱走したとのことだった。

(あぁ…どうしよう。何て断ろうかな。)

遅刻した上にバックれなんて最悪でしかないけど、ショッカーを放っておくわけにもいかない。
重たい足取りでエリーの元に戻った。

「ごめん…急用が出来たみたいだ。」

絶対にまた怒られる…って思っていたが、罵声を浴びせられることはなくエリーは小さなため息をついた。

「急用なら早く行ってきて。」

「ごめんっ！」

ごめんじゃなくて本当のことを言いたいけど、それは心の内にしまっておいて駆け足でショッカーのいる所へ向かうことにした。

(仮面の男から友達救って、好きな人とディナー食べようとしてた所に今度は衝撃波撃って強盗するイカれた悪党捕まえに行くのか。)

「ほーんと、死ぬほどありふれた生活だよね！」