34話 ページ36
『……。(なにこれ…。なんでこんなに生徒が…。)』
保健室にはトムだけではなく、
多くの生徒がベッドに横たわっていた。
少女たちがトムのベッドへと向かうと、
そこには酷くやつれたトムの姿があった。
ト「おう…。お前たち…。調子は…、竹って感じか…?」
マ「先輩のアイデンティティが…。」
レ「どうしちゃったんですか…?そんなにやつれて…。」
トムは少しずつ事情を話し始めた。
ト「あぁ…。実は俺もよく分かってなくてな…。
起きたらここにいた…。」
『………。』
ト「普段は全力で生きているから、寝た瞬間、もう朝なんだ。
夢なんか見ない…。だが倒れる前の日だけは…。
暗い暗い箱の中に閉じ込められている…。
そんな夢を見たんだ…。声も出せない…。
だが、意識はしっかりとある…。そんな状態が何時間も続く…。
そんな恐ろしい夢だ…。」
マ「トム先輩がここまで…。食べなきゃ、シュークリーム。」
レ「マッシュくん、静かに。」
『(レモンちゃんがマッシュにつっこんだ…!!)』
レ「体調は大丈夫なんですか…?」
ト「あぁ…。少し気だるい感じだ…。
それと…、魔法が一時的に使えなくなってる…。
自分の中の魔力もほとんど感じない…。
まるで吸い取られたかのような…。」
『(本当に一体何が…。)』
ラ「なるほどな…。それにしても…、なんだこの数は…。」
ト「彼らも一時的に魔法が使えなくなっているようだ…。
校長が魔法局に呼び出されている、このタイミングでだ…。」
『…見計らったようなタイミングですね…。』
皆が口を閉ざしていると、レモンがマッシュに話しかけた。
レ「あの…、マッシュくん…。これ…。」
マ「?」
レモンはマッシュに
シュークリームのような形をしたものを差し出す。
マ「…。これは…。」
レ「私が作ったお守り…、シュー子ちゃんです。」
『(レモンちゃんが頑張って作ってたやつだ…。)』
レ「何だか最近嫌な感じがして…。」
マ「このリボンは…」
レ「キャアアアアア!!!無粋ィィィィィィ!!!」
レモンはそう叫ぶとマッシュの顔面を殴った。
『うわ』
マ「???」
レ「とにかく…、あんまり無茶しないでくださいね…。」
マ「……。うん…。」
『(…なんかいい感じ…?)』
レ「それで肌身離さずそれを持って
常に私のことを考えててくださいね…!」
『(……あれ、だめだ。なんか変な方向にいってる。)』
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作者名:あかり | 作成日時:2024年2月6日 7時