32話 ページ34
502号室に着くと、少女は早速手当を始めた。
『……やっぱり結構傷大きいじゃん…。』
ラ「この程度の傷でいちいち騒いでどうする。
今後もっと大きな傷を負うことだってあるだろう。」
『……それはそうかもしれないけど。』
ラ「フン…」
2人の間に重い空気が流れる。
『……ごめん。迷惑だったよね…。
私なんかにしつこく言われて…。』
ラ「……やめろ。」
『…え』
ラ「その私なんか、というのをやめろ。」
『……。』
ラ「そこまで自分を卑下する必要はないだろう。」
『…不快にさせたならごめん。』
ラ「そういうわけではない。いちいち謝るのもやめろ。」
『…ごめん。』
ラ「謝る必要は無いと言っているだろう。」
『………。
……と、とりあえずすぐ手当終わらせちゃうね…!』
ラ「…………。」
『(謝る以外にどうすれば良いんだろう…。)』
そこから会話をすることはなく、手当を終えたのであった。
『…終わったよ。』
ラ「……助かった。」
『え…。』
ラ「流石に礼くらいは言う。」
『そっか…。良かった、ちょっとでも役に立てて…。』
ラ「…少しでは…」
ランスが何かを言いかけたその時、
レモンが部屋に戻ってきた。
レ「Aちゃん!部屋にいたんです、ね…………。」
『…レモンちゃん?』
レ「な、Aちゃん…!
まさかここでランスくんと密会を…!?」
『え!?』
レ「すみません!私邪魔をしてしまって…!!」
『いやいやいや、違うからね!?』
レ「恥ずかしがらなくていいですよ!すぐ出ていきますね…!」
そう言い、レモンは部屋を飛び出して行った。
『ちょ、ちょっと待ってよ、レモンちゃん!!』
少女もレモンの後を追って部屋を飛び出す。
ラ「………。」
1人部屋に取り残されたランスは何かを考えているようだった。
『レモンちゃん……。ほんとに、ほんとに誤解だから…。』
レ「そんなに恥ずかしがらなくても大丈夫ですって!!」
レモンに追いついた少女は必死で説明するも、
なかなかレモンは納得せず、
違うと信じさせるのにしばらく時間がかかったのであった。
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無事に30話突破することが出来ました。
皆様が評価・♡・お気に入り追加をして下さるおかげです。
これからも何卒よろしくお願い致します。
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作者名:あかり | 作成日時:2024年2月6日 7時