愛の謳い方を知らぬ僕らは (ページ6)

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あなたのせいだよ。 1 # ページ6

wt side

『本当に最低』

パンと小気味よい音を立てたそれは、
頬に痛みを引き連れてくる。

じわじわと痛み出した頬は、
まるで心臓の位置が変わったみたいだ。

『結局私の事好きになってくれなかったでしょ』
｢…ごめん…｣
『口だけの謝罪なんて聞きたくない。これから先も、
誰も愛さず、誰にも愛されずに生きていけば』

力いっぱいにドアを閉める音が響く。
バタンと大袈裟な音を立てたそれは、
まるで俺の心を表しているかのよう。

何事も大袈裟で、色々なことを包み隠してしまう
そんな馬鹿な心に似ている。

今まで何人もの彼女に言われてきた。

''何を考えているのかわからない''
''私の事好きじゃないでしょ？''
''いつも自分勝手だよね''
''ちゃんと人のこと好きになったことないでしょ？''

ちゃんと好きになるってなんだよ

俺は、好きになれるかわかんないよって初めに言ったのに
それでもいいって言ったのはお前らだろ。

それなのに結局、愛がなんだ、好きってどうだとか、
自分の理想を俺に投影して、勝手に失望して。

それこそ自分勝手じゃないか。

お前らだって俺の事なんて
1度も見てくれたことないくせに

いつも見ているのは、俺につけられた肩書きで。
本当の俺の事を見てくれたことなんてない。

本当の俺を見てくれない人ばかりが寄ってきては、
愛を囁いていく。

それなのに唯一本当の俺の事を理解してくれた
あなただけがそばには来てくれない。
ただ一人、あなただけが本当の俺を見つけてくれたのに。

あなたの目には、俺以外の人が写っている。

｢何？また振られたの？｣
｢そーだよ、これ以上傷広げんな｣
｢翔太は本当に続かないよね｣
｢好きになってくれなかったって、
初めから無理だと思うって言ったのに、
それでもいいって言ったのはあいつの方だろ。｣

勝手だ。どいつもこいつも自分勝手だ。

｢なんでこんなに良い男が振られるんだろう？
私なら絶対振らないのに笑｣
｢そもそも付き合わねぇよ笑｣
｢当たり前でしょ笑｣

期待して苦しくなるから、そんな事言わないで。

｢まぁ、いつか本当に好きな相手が見つかるよ｣
私みたいにね

そうやって笑ったあなたは、本当に綺麗で。

そんな風にあなたを綺麗にしたのが
俺じゃないことに酷く嫉妬した。