愛の謳い方を知らぬ僕らは (ページ25)

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ああ、何もかもを俺のものに出来たら

その大きな瞳も、褐色の肌も、細い指も

苦しかった過去も、愛おしい今も、そして未来も

君を作る全てを俺のものに出来たら

どれほど幸せだろう

｢…あのさ…俺、ずっと…｣
｢だめ。それ以上は言わないで｣

零れ落ちそうなほど涙を溜めた瞳が俺を見据える

｢間違っているのは、世界でも周りの人たちでもないよ
……みんなが正しいんだよ。｣

ああ、間違っているのは俺たちなんだね。
そういうことなんでしょう。

どれほど藻掻いても、幸せになれないのは、
俺たちが間違っているからなんだろ。

…でも、もう1人で泣かせたくないんだよ。

1人で苦しまないでほしいんだ。

無理して笑わないでほしい。

触れるだけのキスの理由を聞きたいんだ。

｢…間違いなんかにさせない…｣
｢蓮…｣
｢ごめん、もう嘘つきたくない…｣

戻れないのなら、
壊れてしまうのなら、
幸せになれないのなら、
いっそ、このままどこまでも沈んでしまおう。

どちらともなく顔を寄せあって。
深く深く唇を落とす。

｢…愛してるよ…｣

言えなかった言葉は、酷く苦しくて、
それでいてどこか暖かかった。