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｢蓮、パンとご飯どっちにする？｣
｢んー、今日はパンがいいかな｣
｢わかった｣
パンを焼いてスープの素にお湯を注いで。
全てをお皿によそってあなたを呼びに行く。
｢出来たよ。食べよ｣
｢いつもありがとう｣
そう言って、頭を撫でてくれる手のひらは温かくて、
胸がいっぱいになる。
｢呼びに来てくれてありがとう。ほら、行こう｣
掴まれた手から、どうにか隠している想いが
伝わってしまいそうで、頬が熱を持っていることなど
きっとあなたは気が付かないんだろう。
あなたのその何気ない行動に、自分だけがいつも、
想いを募らせている気がして少しの寂しさを覚える。
今だって、席に着くために簡単に離されてしまった手が
虚しいだなんて、きっとあなたには伝わらないのだろう
いや、伝えてはいけないのだから、これでいいのだ。
それが正解なんだ。
それでも、どうしようもなく苦しく思ってしまうのは
自分が欲に塗れているからだろうか…
あなたみたいに綺麗じゃない。
あなたみたいに、
''一緒にいられるだけで幸せだ''なんて言えない。
この関係に名前がほしい。
あなたとの確かな絆がほしい。
そんな願いを伝えてしまえば何もかもが終わってしまう
そうわかっていても、胸の奥につかえたその想いは
なくなることはなくて。
気を抜けば、口からするりと零れ落ちそうになる。
ただ、それを必死に抑えているだけ。
そうして、伝えられずに腐っていった言葉たちを
胸の奥にしまいこんで。
いつの間にか、濁った心に気付かないふりをする。
ねぇ、誰か嘘吐きって言って。
この想いに気付いて。
''蓮、愛してるよ''
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作者名：羽瑠 | 作成日時：2023年2月17日 23時
