彼の日の号 1 × ページ20
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あと何回、同じ朝を迎えて
あと何回、絶望に似た溜息を零せば
俺たちは幸せになれるのだろう
｢おはよう｣
｢おはよう｣
朝、愛おしい君の声で目を覚ます。
｢蓮、パンとご飯どっちにする？｣
｢んー、今日はパンがいいかな｣
わかった。なんて言いつつ、リビングへと向かっていく
背中を見つめていれば、直にパタパタと軽やかな足音が
聞こえてきて。
トーストの焼ける匂いと、スープの香りが
部屋いっぱいに広がっていく。
｢出来たよ。食べよ｣
｢いつもありがとう｣
俺を呼びに寝室へと戻ってきてくれた、
その茶色がかった頭をクシャッと撫でれば、
嬉しそうに目を細めるから。
可愛いな。なんて、思わず抱きしめたくなる。
そんな思いを誤魔化すように深く腰掛けていたベッドから
重い腰をあげて、そのしなやかな手を掴む。
｢呼び来てくれてありがとう。ほら、行こう｣
席に着くために、繋いでいた手を離せば、
少し寂しそうな顔をする君がいて。
それがどうしようもなく愛おしいと思ってしまう。
｢｢いただきます｣｣
おいしい。と言えば君は焼いてお湯を注いだだけだよ？
なんて笑うけれど。それでも、充分すぎるくらいだ。
ずっと追いかけてきた君と一緒に過ごせると言うだけでも
幸せなんだから。
幸せすぎて怖いくらいなのに。
｢｢ごちそうさま｣｣
｢片付けは俺がやるから座ってて｣
いつもごめんね。って言う君に、
このぐらいはさせてよ。
なんて返して、冷たい水に手をつけた。
そうして、洗剤をスポンジにかけて、
ギュッギュッとお皿を洗っていく。
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作者名：羽瑠 | 作成日時：2023年2月17日 23時
