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｢今までみたいに会えなくなるかも。
ごめんな｣
そうやって触れた頭から伝わる想いなど感じたくない
｢そんな気にしなくていいよ。
ただの幼なじみなんだから。
彼女のこと大切にしてあげなよ｣
Aが苦しそうに笑うから、俺は幸せな振りをした
幸せだよ。って自分に言い聞かせるように、笑った
｢ただの幼なじみなんかじゃないよ。
俺にとってAは大切な人だよ｣
ああ、俺は狡いな…
離れてくれ。なんて願ったくせに、
忘れないでほしいなんて。
Aを苦しめる言葉はスルスルと
俺の中から溢れ出して。
｢何それ笑 大切な人っていうのは彼女に使いなよ！笑｣
｢確かにそうだな笑｣
そう言った俺はちゃんと笑えてた？
これから先も、一番大切な人はAだよ。
そんな言えもしない言葉を胸に落として。
そうして笑うのだ。
きっとこれが正解なんだ。
そう言い聞かせるように。
そう思い込めるように。
｢じゃあ俺がAに似合いそうな人見つけてやるよ｣
それは俺がいい。
Aに似合う人なんて、俺しかいないよ。
こんなにも矛盾だらけの心などいっそ切り開いて
握り潰してしまいたい。
君の特等席を、君じゃない誰かに譲ったのは俺なのに
それでも、願ってしまうのだ。
隣にいてくれ、と。
特等席でいつまでも笑っていて、と。
｢…辰哉、おめでとう｣
｢ありがとう…改めて言われると恥ずかしいな笑｣
｢何？照れてんの？笑｣
｢違ぇわ！笑｣
2人で笑い合う、もう二度と戻ることの無い日々を、
目に焼き付けた。
特等席の君へ。
いつか、空の青を知った君は、
俺じゃない誰かと恋をして。
俺じゃない誰かと永遠を誓ってください。
そうして、幸せになって。
ちゃんと幸せになって。
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作者名：羽瑠 | 作成日時：2023年2月17日 23時
