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頬が涙で濡れる感覚に、
固く閉じていた瞼を開く。
防波堤に波音が響く。
ゆらりゆらりと揺れる。
飛沫が上がる。
灰色を黒に染めあげていく。
あなたが終わりを選んだのなら、
俺も終わりを描きましょう。
｢阿部ちゃん！｣
みんなの声が響く。
桜色が、視界を掠める。
ふわりと口角を上げて、
ただ、欠けたSnow Manを見つめる。
真っ黒な波が防波堤に煽られて、背中打ち付ける。
ザブンザブンと波が五月蝿い。
海に向かって、体重をかける。
泣かないでよ。
そんな顔させたい訳じゃないんだよ。
笑ってよ。
最期に見る景色がみんなの泣き顔なんて嫌だよ。
ごめんね、もう…ここに遺すものはないんだ
伸ばされた手が、俺の腕を掴もうと宙を掻く。
｢…じゃあね｣
あなたの最期の言葉と
お揃いに落としたそれと共に宙を舞う。
ドブンっと響いたのは、俺か、波か
もうわからなかった。
海に攫われてきっと俺はあなたの元へと辿り着く
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作者名：羽瑠 | 作成日時：2023年2月17日 23時
