愛の謳い方を知らぬ僕らは (ページ1)

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消えるまでは 1 ×△ ページ1

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白くて細い指先から煙が舞った。
その煙はあの人と同じ香りを纏っていた

｢ねぇ、そんなに吸ったら体壊すよ｣
｢んー、わかってるよ…｣
｢なら吸うのやめてよ｣
｢……それがやめられないんだよね…笑｣
｢なんで…｣
｢……吸わないと忘れてしまいそうだから…｣

あなたの脳裏には、
まだあの人との思い出がこびりついているらしい。

それほど、あなたにとってあの人は特別で大切で、
かけがえのない存在だったのだ。

それは…俺にとっても…

｢……本当にずるいよね…｣
｢ははっ笑そうだねぇ笑｣
｢……こんなに縛り付けておくなら、
置いていかないでくれれば良かったのに｣
｢……本当にね。ずるい……｣

指先に挟まれた煙草が真っ黒な空に灰を落とす。
まるで、泣けないあなたの代わりに涙を流しているようで、何故だか視界が歪んでいく。

｢なんで、ラウが泣くの？｣
｢ご、めっ…だって、、｣

あらゆるところから管を伸ばし、至る所に包帯が巻かれ、
機械で無理やりに命を繋いでいたあの人の病室で、
縋り付くように抱きついて。

あなたは、ただ『置いていかないで』そう言って
ボロボロと涙を零した。

あの日以来あなたが涙を零した姿を見たことがない。

医者が首を横に振った時も、
たくさんの記者に囲まれた時もあの人が灰になった時も、
あなたはただ気丈に前を見据えていた。

あなたは、きっとあの人がいなくなったこのグループを
あの人がいた証をこの世界に残そうと必死だったんだね

本当は、苦しくて、寂しくて、会いたくて堪らなくて。
それでも、自分がしっかりしなきゃって。
守れるのは自分だけだって。
そうやって虚勢を張り続けた。