10話 ページ11
話し終えたとき、切島くんの手が私に向かって伸びる。
そしてその手は私の頭の上に乗り、ポンポンと、一定のリズムで優しく叩いた。
｢辛かったよな。頑張ったよ、石原は。｣
｢き、切島くん…｣
切島くんの過去を聞いても、私は何も言葉は出なかったのに、切島くんは私の過去を聞いて、言葉をかけてくれた。
本当に優しい人だと思う。
｢切島くんは、絶対に最高のヒーローになれるよ｣
｢え、マジで？｣
｢うん。応援してる。
……あとそろそろ恥ずかしいから手、退けてほしい、かな…｣
｢うおっ悪ぃ！｣
そう言うと切島くんの手は離れて言った。
自分でやめてって言ったのに、やっぱりなんだか名残惜しい。
もう少し、してもらえばよかったかな…
｢石原が言うなら、俺、良いヒーローになれるかもな。だって石原良いやつだし！｣
ニカッと、眩しい笑顔を私に向ける。
褒めてくれたことが照れくさく、そしてその笑顔が最高にカッコよくて、赤くなった顔を隠すように下を向いた。
｢暗くなってきたし、そろそろ帰るか！｣
｢そうだね｣
｢最寄り何処？家まで送るぜ｣
｢××駅。切島くんは？｣
｢俺○○駅！逆だな。｣
｢うう…本当だね…家までは申し訳ないよ…気持ちだけで十分嬉しい｣
｢そっかぁ…ヒーロー志望だし、何より男だから暗いのに女の子一人で帰らせたくないけど…
仕方ねぇ。｣
さっきとは違い、肩を並べて歩く私達。
少し、距離が近くなった気がして心が弾んだ。
｢なぁ、石原。俺でよければ個性操る練習手伝うぜ？｣
続く (更新停止中)
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作者名：オドントライト | 作成日時：2019年5月18日 19時
