�� ページ31
「いーからもう行こ
明日現像まで付き合ってよ
そしたらもう…
きっと大丈夫だから」
ぐいぐいと光の背を押しやり、廊下に戻るミツバ
「！
…そうか
んじゃ続きは明日な！」
「うん
昇降口で待って…」
しかし、ひとりでに開く扉
「ミーツーバくん
困るなァ
勝手なコトされるの」
調子の外れた高い声
黒い人魂を連れる彼に、ミツバは目を見開く
そっくりな顔に、花子くんを重ねかける光
(…いや違ぇ
誰だこいつ…！？)
「俺になんにも言わずにいっちゃおうだなんて…」
歩みを進め、ポン、とミツバの肩に手をおく彼は
「ダメだよ」
なんでもないことのように
いとも容易く
ミツバの胸を、その腕で貫いた
胴体に大きな風穴を空け、べしゃりと倒れ込むミツバ
「な
何すんだテメェ！」
ようやく思考が追い付いてきたように、光は少年に殴りかかる
無表情で拳を避ける彼は、掴んだ光の頭を壁に叩きつけた
「ねーミツバぁ
君は俺に願ったよね
“みんなの記憶に残りたい”って」
倒れるミツバに歩み寄り、髪を掴み上げて無理やり目を合わせる
「一人だけで満足？
違うでしょ？」
光の無い、どこまでも真っ暗で真っ黒の瞳に、喉を引きつらせるミツバ
「ま
待ちやが…れ…」
しかし
血まみれの額を抑えながらも、光はその体を動かした
「テメェ何者だ…
ミツバに…
オレの友達に手ぇ出すんじゃねー…！！」
後ろから彼の肩を掴み、低く唸る光
何かを考えるように黙った後、黒い人魂を呼び寄せ光を弾き飛ばす
「俺は怪異さ
何か一つを代償に、呼び出した者の願いを叶える
あまねが叶えるのは、生きた此岸の者の願いごと
そして俺が叶えるのは、死んだ彼岸の者の願いごと
彼は願って俺は応じた
だから俺は願いを叶える
俺のやり方でね」
花子くんの真名を口にした彼は、一台のラジオを取り出した
「サクラ！準備できたヨー」
《わかった》
黒い人魂が用意した旧式の電話に呼びかければ、返ってくるのは若い少女の声
ラジオはノイズを走らせながら、その“噂”を語りだした
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 69人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イヨリ(プロフ) - 悠奈さん» コメントありがとうございます！好きになっていただけて嬉しいです！暑いですが頑張ります！ (2021年8月7日 12時) (
レス) id: 0c53510547 (このIDを非表示/違反報告)
悠奈(プロフ) - めっっちゃ好きです！！お身体に気をつけて頑張ってください！ (2021年8月7日 8時) (レス) id: 034afccae7 (このIDを非表示/違反報告)
イヨリ(プロフ) - saraさん» コメントありがとうございます！好きになっていただけて嬉しいです！頑張ります！ (2021年8月4日 17時) (レス) id: 0c53510547 (このIDを非表示/違反報告)
sara - ｱｯ…好きです！更新心待ちにしております！ (2021年8月4日 13時) (レス) id: 856cffb9ea (このIDを非表示/違反報告)
イヨリ(プロフ) - 匿名希望の〇〇:ネロ・クラウディアさん» コメントありがとうございます！最近未熟な作者のせいで更新が遅れがちですが、読んでいただけて嬉しいです！頑張ります！ (2021年8月3日 15時) (レス) id: 0c53510547 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：イヨリ | 作成日時：2021年7月10日 21時
