アルストロメリア ページ32
side sgi
『 悪い！待たせた！ 』
彼らと別行動になって10分。迷いながらもナビを頼りに目的地についた。
｢ まじでめちゃくちゃ待ったんだけど。まあ俺が早く来すぎたのもあるけどさ。で、用事って何？ ｣
そう、用件を尋ねてくる彼は俺の同級生の田村だ。なんでこいつをわざわざ呼んだのか。それは
『 単刀直入に言う。女性にあげるプレゼントって何がいいと思う？ 』
田 ｢は？なに急に。あ、分かった。Aちゃんにあげるものってこと？だから俺に聞いてるんだ ｣
『 いや、誰にあげるとは言ってないだろ！いやまあ当たってるけど！ 』
そう、俺はこいつに彼女にあげるものを聞きたくて呼んだ。なんでこいつに聞いたのか、それは俺よりもさえちゃんに詳しいからで、なんでさえちゃんについて詳しいかと言うと。
田 ｢ まあ、Aちゃんにプレゼントあげるとなると確かに俺を頼りたくなるよな。なんせ兄妹みたいに仲良しだもんな、俺とAちゃんって ｣
そう、羨ましい事にこいつはさえちゃんと俺よりも仲がいい。どうして仲良しになったのかそれは家が近くて親がたまたま知り合いだったとかそれでさえちゃんが高校生の時東大を目指してるのを知った田村が勉強を教えてあげたとか。それで仲良くなっていったらしい。だからこいつは俺がさえちゃんと出会うずっと前から知り合いだったんだよな。そう思うとムカつく。でもこうして意見を聞ける人がいるのは有難い限りだが。
『 そうそう、だから田村にさえちゃんになんかあげるのにいいの無いかなって聞きたくて。お前ならなんか知らないかなって 』
田 ｢んー、なんかねえ。あ、でもあれだな。指輪 ｣
『 指輪？さえちゃん指輪が欲しいの？ 』
田 ｢ お前、Aちゃんと買い物行った時指輪見たんだろ？その指輪がすごく綺麗で今も鮮明に覚えてるんだって ｣
あの時の指輪か とあの時の事を覚えててくれてる事実も嬉しいし、何より…
田 ｢ なにその嬉しそうな顔、もう顔から幸せ溢れてるんだけど。甘過ぎて俺にはついてけないわ ｣
『 うるせー 』
と言いつつも本当に嬉しくてこう一気に幸せな気持ちが込み上げてくる感じ。
田 ｢ まあ少しでも役に立ったんなら良かった。幸せにしてあげろよ？てかしてあげないと許さないから ｣
と兄のような事を言う田村。こいつはこいつでさえちゃんの事を大切に思っているからな。だが心配ご無用。
『 心配すんなって、幸せにするつもりしかないから 』
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作者名：ひびあ | 作成日時：2020年7月17日 19時
