【QK】オタクの君に恋して何が悪い！ (ページ4)

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アスチルベページ4

私の腕を掴んだ彼。一緒に走ってくれないかと言った彼。4年生の先輩だった。何故か周りからの目線が凄いが断る理由もなかったのでいいですよ！と言ってみた。すると良かった！！って安心した様子を浮かべていた。走りたかったのも事実だったので丁度いいと思い、彼に置いてかれぬようゴールを目指した。順位は見事1位。嬉しそうにする彼は私にハイタッチを求めた。君が走るの速かったおかげだよ！ありがとね！と。その嬉しそうな笑顔が堪らなく素敵で輝いていて嘘みたいかもしれないが好きかもしれないそう思った。

『喜んでもらえたなら良かったです！』

その気持ちが一瞬の事であると思っていた。そう思いたい。きっと彼と会うことはもう無い。そんな気持ちを持っても無駄なんだから。そう思う私とは他所に彼はこんなことを言う。

｢君名前はなんて言うの？あ、俺は須貝駿貴。教養学部4年だよ｣

｢突然君を走らせちゃったから何かお詫びをしたくてね、もし良ければ仲良くなれたらなって思ってたんだけど……｣

なんて言うんですよね。どうしようかなと思うけれどまあ答えは決まってる。

『名前は佐伯Aです。教養学部1年です。えーと、私なんかでよければぜひ仲良くしてください…！』

｢へー！学部一緒なんだ！運命じゃん！なら先輩としてこれは可愛がってあげなくちゃ！｣

この人は罪だ。運命とか可愛がってあげるとかそんなことを平気で言えちゃう。きっとこの手法で何人もの女の子を落としてきたんだろうな……。まあ私もそのうちの一人なんだが。

｢ねえねえ、今日とかお暇？俺今日なんもないからさ、お茶とかどう？｣

え、早くない？でも……

『い、いいですよ？今日行っちゃいます？』

｢ほんとに？！断られるかと思ったのに！ありがとね！さえちゃん！｣

『さ、さえちゃん？私の事ですか？』

｢当たり前でしょう！佐伯ちゃんだからさえちゃん！いいでしょ？あ、なら片付け終わったら1年の教室行くから待ってて！｣

言いたいことが言い終わった彼はクラスメイトの方に走っていく。やっぱり話しやすくていい人だなと思った。走り終わって少し経つのに心臓が煩いのを感じた。

あー、やっぱ好きなのかも

そう思い始めたらもう止まらない。早く会いたいな。まだ名前しか知らない彼に。