酒は飲んでものまれるな・其の弐(3) ページ40
白「あれ?Aちゃんまだ戻って来ないの?」
桃「オレちょっと見てきます」
桃太郎が席を立ち上がろうとした時、Aの姿が見える
その足取りは、席を立った時のように軽やかなものではなく
ふわふわと頼りない
桃「Aさん、大丈夫ですか?」
あ「ん?何がー??」
此方を見上げたAの頬は桜色に染まり、切れ長の大きな瞳はうるんでいる
白「桃タローくん、顔赤いよ。もう酔っちゃったの〜?」
桃「いやっ!酔ってないっす!」
白「僕が言った通り、酔ったAちゃん可愛いでしょ〜?」
白澤はにんまりと笑うと、此方に向かって片目をつぶって見せた
あ「二人で、こそこそ何話してるんれすかぁー」
Aの呂律が回っていないところをみると、やはり薬は効いているらしい
白「Aちゃんがもうすぐあの闇鬼神の嫁になると思うと寂しいなぁ‥って」
あ「えぇー、何でれすかぁ?私は楽しみれすよ」
白「あいつの何処がそんなに良いわけ?」
あ「鬼灯さんはカッコいいんれす!それに優しいし‥」
白「優しい?あの冷徹鬼が?!」
あ「一緒に出かける時は、いっつも手を繋いでくれるし‥一緒に眠る時は、私が眠るまで頭を撫でてくれるんれすよー」
鬼灯の事でも思い出しているのだろうか
ふわりと笑うAの姿は、酔いが回ったその容姿と相まって仄かな色香さえ漂っている
女性など見慣れているはずの白澤も一瞬照れた素振りをみせ、それを隠すように再び口を開いた
白「Aちゃんは、あいつが初めて付き合った男なんでしょ?」
あ「そうれすよー」
白「じゃあ、あいつが良いかどうかなんて解らないじゃない?
なんなら、人妻になる前に僕とどお?」
照れ隠しにしてはあんまりな発言と共に、白澤はAの肩を引き寄せようと腕を伸ばす
あ「お断りれす!鬼灯さんは良い男なんれす!」
酔っているとはいえ、Aは地獄でも実力は折紙付きの武道派である
白澤の腕をするりとかわすと、逆その腕を捻り上げていた
白「ちょ、Aちゃん?!‥‥痛い、いたいよ!?もう、冗談言わないから離して!!」
テーブルの上に突っ伏して涙目で訴える白澤を見下ろして、Aは薄く微笑んでいる
あ「えぇー、どうしようかなぁ?」
――Aさん、酔ってるから容赦ないな‥‥
「A、そのままポキッとやってしまいなさい」
苦笑を浮かべ二人を見ていた桃太郎の背後から
聞き慣れた低い声が響いた
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百花(プロフ) - まだらもようさん» ありがとうございます!忙しさに負けず更新がんばります(^-^ゞ (2018年11月8日 7時) (レス) id: 9123add313 (このIDを非表示/違反報告)
まだらもよう - ヤバイ見てて楽しいテンション上がる楽しい作品をありがとうです! (2018年11月7日 23時) (レス) id: d426066ad9 (このIDを非表示/違反報告)
百花(プロフ) - カコさん» まさかこの作品に癒し効果があるとは!素敵コメントに私も癒されました(*´ω`*) (2018年10月17日 21時) (レス) id: 9123add313 (このIDを非表示/違反報告)
カコ - 癒される・・・荒んだ心がほぐれていく・・・ (2018年10月17日 21時) (レス) id: 87181eb08c (このIDを非表示/違反報告)
百花(プロフ) - 泪さん» 楽しんでいただけて嬉しいです(*^_^*)これからもよろしくお願いします! (2018年7月25日 18時) (レス) id: 9123add313 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百花 | 作成日時:2018年6月17日 7時