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二人の午後(2) ページ30

あ「ねぇ‥鬼灯さん」

鬼「‥ん?」

あ「男の人って‥結婚したら釣った魚にエサはやらないんじゃ、ないんですか?」


現世に視察に行った時に読んだ雑誌には、そんな事が書いてあった


鬼「また、何か吹き込まれたんですか?」

あ「いえ‥現世の雑誌で‥‥」

鬼「私は欲しくて釣った魚には、いつまでも愛情を注ぐタイプなので心配しなくても大丈夫ですよ」


耳元で囁かれ、そのまま耳に口付けられる


あ「いえ‥むしろ、逆というか‥‥
そこらへんは、そんなに全力じゃなくても‥」

鬼「私は、何にでも常に全力ですよ」

あ「ちょ‥鬼灯さんっ!!」


本格的になってきた掌と唇に、Aが鬼灯の名前を呼ぶと

鬼灯は嬉しそうにAの首筋に唇を這わせた


あ「‥んっ‥」

鬼「嫌なら、やめますが‥」

あ「鬼灯さん、ずるいです‥」


膨らませた頬に、額に、唇に、キスを落とされる

いつもそうやって鬼灯のペースに巻き込まれ、流される
でも、それを少しも嫌だと思えない自分が居る

その大きな手で、唇で、もっと触れて欲しいとさえ思ってしまう

しかし昼間から居間で、というのはどうにも恥ずかしかった


あ「‥場所‥‥変えて」


かすれた声で呟いた希望は、直ぐに聞き入れられた
ふわりと身体が持ち上げられ、寝室に運ばれる


あ「自分で、歩けるのに‥」

鬼「離したくないんです」


午前中に変えたばかりのシーツはさらりと肌に馴染んで、火照った身体をひんやりと包み込んだ

鬼灯の温かな掌とシーツの感触が心地よく、Aは気付けば微睡みの中にいた


鬼「A?眠たいんですか?」

あ「‥ん‥‥ごめんなさい‥」

鬼「昨夜も遅かったですし‥最近仕事も忙しかったですもんね」


身体を撫でる鬼灯の掌が、寝かし付ける為のそれに変わる


――やっぱり‥鬼灯さん、優しい


仕事が忙しい時には、さりげなく手を貸してくれたり

体調を崩した時などは、鬼灯が先に気付く事さえある

触れる時も強引にみえて、絶対に強引な事はしない

どんな時でも、愛情と優しさを感じさせてくれる
そして、好きな人に甘える心地よさを教えてくれた


鬼「たまには昼寝も、悪くないですね‥」

あ「鬼灯さん‥頭、撫でて‥‥」


大きな掌が、ゆっくりと髪を鋤いていく

洗い立てのシーツと、大好きな人の体温に包まれて眠る


それはとても幸せで、極上の時間


Aは鬼灯の胸元に頬を寄せると、再び微睡の中に落ちていった

囮→←二人の午後



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百花(プロフ) - まだらもようさん» ありがとうございます!忙しさに負けず更新がんばります(^-^ゞ (2018年11月8日 7時) (レス) id: 9123add313 (このIDを非表示/違反報告)
まだらもよう -  ヤバイ見てて楽しいテンション上がる楽しい作品をありがとうです! (2018年11月7日 23時) (レス) id: d426066ad9 (このIDを非表示/違反報告)
百花(プロフ) - カコさん» まさかこの作品に癒し効果があるとは!素敵コメントに私も癒されました(*´ω`*) (2018年10月17日 21時) (レス) id: 9123add313 (このIDを非表示/違反報告)
カコ - 癒される・・・荒んだ心がほぐれていく・・・ (2018年10月17日 21時) (レス) id: 87181eb08c (このIDを非表示/違反報告)
百花(プロフ) - 泪さん» 楽しんでいただけて嬉しいです(*^_^*)これからもよろしくお願いします! (2018年7月25日 18時) (レス) id: 9123add313 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:百花 | 作成日時:2018年6月17日 7時

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