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怪我の巧妙(5) ページ28

余裕が出てきたAは

鬼灯がじっと自分を見ている事に気付いた

忘れていた恥ずかしさが蘇ってきて、思わず喉を詰まらせそうになる


あ「な‥なんでそんなに見てるんですか?」

鬼「美味しそうに食べている姿が可愛らしいな‥と思いまして」


思いもよらない答えに体温が上がる

熱くなった頬を隠すように俯いて、ちらりと鬼灯を見ると
相変わらず涼しげな顔でこちらを見ていた


鬼「早く食べないと時間が無くなってしまいますよ」


再び口許に食べ物が差し出される

空腹には勝てず、Aは結局持ってきた二つの定食を全てお腹に収めてホッと一息ついた

―――――――――――――――――――――――

鬼「A、また右腕使おうとしましたね?」

鬼「両手で巻物を抱えない!時間かかっても良いですから、少しずつ運んで下さい」

鬼「ちゃんと薬は飲みましたか?」

鬼「怪我が治るまで、刑場の視察は禁止ですよ!」


その後も、鬼灯は千里眼が使えるんじゃ‥とAが思うほど
少しでも右手を使おう物なら即座に鬼灯の指導が入った

そして無事に迎えた抜糸の日

鬼灯の指導が功を奏したのか
「いゃあ、鬼神ともなると怪我の治りも早いですね」
医師も太鼓判を押すほどにAの怪我は良くなっていた


朝一で抜糸を終えたAは、晴れやかな気持ちで閻魔殿へと向かった


あ「鬼灯さん、大王!お医者さんも、すっかり治ってるって!!」

鬼「良かったですね。でも、まだ無理はいけませんよ」

閻「Aくん良かったねー!しかし、今回は鬼灯くんの貴重な姿も見られたよ」

あ「えっ??」

閻「いやーもうね、毎日ハラハラしてる鬼灯くんを見るのが楽しくって!
いくら怪我人っていっても箸すら持たせないって、どれだけ重症なの」


楽しそうに思い出し笑いを始めた閻魔大王の頭に、鬼灯の金棒がめり込んだのは言うまでもない

しかし、Aは大王が言うように鬼灯がそこまで見守ってくれていた事が嬉しくてたまらなかった


あ「鬼灯さん、ありがとう」

鬼「あまり心配させないで下さいね」


鬼灯の大きな手がAの頭を撫でる


あ「今まで働けなかった分、今日からバリバリ働きますよー!
まずは刑場の視察に行ってきます!」

鬼「A!」


駆け出した背中に呼び掛けられ振り返る

鬼灯の手には、怪我をした初日に取り上げられたAの愛刀が握られていた


鬼「忘れ物です」


Aは、こちらに放り投げられた愛刀を右手で受け止めてニコリと笑った

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百花(プロフ) - まだらもようさん» ありがとうございます!忙しさに負けず更新がんばります(^-^ゞ (2018年11月8日 7時) (レス) id: 9123add313 (このIDを非表示/違反報告)
まだらもよう -  ヤバイ見てて楽しいテンション上がる楽しい作品をありがとうです! (2018年11月7日 23時) (レス) id: d426066ad9 (このIDを非表示/違反報告)
百花(プロフ) - カコさん» まさかこの作品に癒し効果があるとは!素敵コメントに私も癒されました(*´ω`*) (2018年10月17日 21時) (レス) id: 9123add313 (このIDを非表示/違反報告)
カコ - 癒される・・・荒んだ心がほぐれていく・・・ (2018年10月17日 21時) (レス) id: 87181eb08c (このIDを非表示/違反報告)
百花(プロフ) - 泪さん» 楽しんでいただけて嬉しいです(*^_^*)これからもよろしくお願いします! (2018年7月25日 18時) (レス) id: 9123add313 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:百花 | 作成日時:2018年6月17日 7時

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