藍沢先生になったフェローちゃん

その3 ページ4

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"藍沢さん、2番の診察室へお入りください"


藍沢先生と同じ名字の人だー

相澤さんかな？それとも相沢さんかな？どんな漢字なんだろ


藍沢「行かないのか？」

「あー藍沢先生。オペ大丈夫だった？まだ呼ばれないんだよね」


検診は俺も行くと言ってたけど、患者さんが急変してオペになったから間に合わないと思ってた


藍沢「今呼ばれただろ」


"藍沢さん、藍沢Aさん"


「え！…あ、あぁ私が藍沢さんか」

藍沢「……そろそろ慣れてくれ」


仕事中も旧姓だし、藍沢という名字を使うことはほとんどなくて

未だに 藍沢A の実感がない………





医師「おめでとうございます。妊娠８週ですね。ほらこのピコピコしてるのが心臓。ちゃんと動いてますよ」


まだ腹部エコーじゃないから藍沢先生と一緒に見る事は出来ないんだけど

先生のお話は一緒に聞くことが出来て



医師「ちゃんと心拍も確認出来たので次回までに母子健康手帳をもらって来てください。

………それと、今すぐ内勤に、と言うのは難しいでしょうか？」


私の担当となるこの産科の先生は 最近ドラマをしてるピアノが弾ける優しいあの先生に少し似ていたりする


藍沢「えぇ大丈夫です。今すぐフライトは外させます。産休はもう入った方がいいですか？」



…藍沢先生待ってください。これは私の診察なのですが、、


医師「通常働くママさん達の多くは妊娠後期に入ってからの産休が多いと思います。稀に臨月までなんてお母さんもいますが

…ただ、私も医師なので


不規則な生活は母体も赤ちゃんにもあまり良くないのは確かです」



「私は、ギリギリまで働きたいです」



一応私だって、フライトドクターとしての誇りやプライドがあるわけで

赤ちゃんが出来ました。明日から仕事しません。

と言える人間でもないわけで……



藍沢「ギリギリっていつまで働くつもりだ」

「妊娠後期」

藍沢「救命医は体力もいるんだ。分かるだろ」

「なにそれ、妊婦は医者しちゃダメなの？」

藍沢「そんな言い方してないだろ。なにかあったらどうするんだ」



医師「まぁまぁ…ダメじゃないです。ただ無理は禁物と言うことです。

体の変化は負担がとても大きいです。なので無理をしすぎなければ大丈夫ですよ」



「ほら、産科の先生がこう言ってるんだから脳外の先生は黙ってて」


藍沢「なんだその言い方は」



きっとこれが私たち夫婦の、ママとパパになって初めての

この子の為のケンカだ


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