70 ページ24
.
藍「ん。これ。翔くんが返しに来た。」
耕作から、私の愛用のペンライトを受け取る。
「翔くん元気だった？」
藍「ああ。母親も翔くんもお前に感謝していた。」
「そっか〜よかった…」
藍「もう少し、自分を大切にしてくれ。無茶しすぎだ」
耕作は私のベッド横に立って、目を合わさずそう言った
「…耕作らしくない事言わないでよー」
笑って見せると、耕作は下を向いたまま眉を下げて少し考え込んでいる様に見えた
「私は救命の医者だよ？…悲惨な現場を知ってる、救える命がある限り私は手を動かし考える。
でも、時々、思う様な結果を出せない時がある。
……奏ちゃんも、いつか分かってくれると良いね
耕作は医師生命を棒にしてでも彼女の命を救おうとしたことを」
藍「…そう、だな
お前はすぐ無茶な事をするから、トロントに行ってる間心配だ…」
頭をポンポンと撫でて、また空き時間できたら来ると言い残して背を向けた
トロントか…長いのかな
やっと気持ちが通じ合ったのに、また離れ離れか
藍「そんな顔しないでくれ…トロントに行っても気持ちは変わらない」
気持ちは言葉にしなければ伝わらない
と良く聞くが
耕作と私はもうそんな関係を通り越しているらしい
だって彼は私の顔色を見ただけで何考えてるか、お見通しだから
「耕作、ありがとう。いってらっしゃい」
──────────────────
橘「A、体の方はどうだ？」
「橘先生…救命チームのおかげで回復もはやいみたいです…今日は休暇ですか？」
私服姿の橘先生に少し違和感を感じた
橘「あぁ、…優輔！」
ゆっくりとした足つきで、
優輔くんが私に駆け寄ってくれた
その後ろには幸せそうな顔をした三井先生もいる
「優輔くん…！！」
優「本当はもうちょっと歩ける様になってから会いに来たかったんだけど、お父さん今日しか休めないみたいだから…先生体大丈夫？」
数日前が嘘みたいに元気で、明るい表情を見せてくれた
橘「おいおい。お前が泣くなー」
三「本当昔から泣き虫よね〜」
優「そうなのー？泣いたらダメだよ」
よかった、よかった
私はそう繰り返しながら涙を流し、優輔くんがハンカチで拭いてくれた
橘先生は 父親の顔 で私たちを見ていた
橘「藍沢、トロント行き決めたらしいじゃないか」
「そうですね」
三「寂しいわね」
「…離れるのは寂しいです……でも私は、
誰かの為に日々学び腕を磨く彼が好きなんです」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1173人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さざんか(プロフ) - 完結おめでとうございます。そしてここまで書いてくださってありがとうございました！！！とってもとっても素敵、感動して涙が出ました……この作品に出会えてよかった。どうか届いて欲しい、本当にありがとう。 (8月24日 2時) (
レス) id: 2d06e4d39c (このIDを非表示/違反報告)
kokuma(プロフ) - クリームパンさん» コメントありがとうございます。泣きながらなんて本当に嬉しいです(/ _ ; )番外編もできたのでよければまた見に来てあげてください^^ (2017年10月23日 21時) (レス) id: ac63afafb7 (このIDを非表示/違反報告)
クリームパン(プロフ) - コメント失礼します。とても感動しました。もう泣きながら読んでました笑これからも応援しています！ (2017年10月23日 16時) (レス) id: bd1ddc4c18 (このIDを非表示/違反報告)
kokuma(プロフ) - 紗智さん» 度々のコメントありがとうございます。皆様のお陰でラストを迎えることが出来て感謝です^^泣いていただけるなんて…嬉しいかぎりです！！また番外編出来ましたら、いらしてください(^-^) (2017年10月22日 5時) (レス) id: ac63afafb7 (このIDを非表示/違反報告)
紗智(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございました。読みながら泣いてしまいました。また読みます☆ (2017年10月21日 23時) (レス) id: 34ac6a1676 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kokuma
| 作成日時：2017年10月6日 21時
