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ただいまのキスはきっと(4) ページ6

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「ねぇ、さっき楽屋で何見てたの?」

「ぅ……それは、」

「教えてくれないともう一回するよ?」

「おま、調子のんな!」



ミツを楽屋であんなにも無防備にニヤつかせたものは一体なんなのか、純粋に気になる。嫉妬心もちょっとある。


唇を突き出して迫れば、素早く伸びてきた手に両頰を挟まれて阻止された。…この距離で俺の変顔を見て笑わないミツはすごい。

ブサイクな変顔を晒したまま諦めずに見つめ続けていると、やっと観念したのか、ミツはずるずると俺の顔から手を離して俯いた。


その手が行き着いた先は衣装のポケットで、取り出したのはスマホ。

画面を見せるのがそんなに嫌なのか、俯いたまま中々顔を上げたがらないミツの背中を、腰に回しままの右手でそっと撫でてみる。



「お願い、見せて?」

「……………絶対笑うなよ」



えっ、笑うようなものなの?

そう思いながらも口には出さずに、ぶっきらぼうに差し出された画面を覗き込む。

そこに表示されていたのは、笑える動画でもいかがわしい画像でもなく、俺もよく知るあの画面で…



「……キス ログ?」



俺の言葉にギクッと肩を震わせたミツは、もういいだろっ!と叫んでスマホをポケットに突っ込んでしまった。

内容をじっくり見る暇はなかったけど、あの顔文字は、あの文体は、間違いなく俺のページだった。


つまりミツは、俺のキス ログを読んでニヤけてた…?



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作者名:いちはら | 作成日時:2015年8月22日 16時

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