smoky lips(4) ページ13
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「ミツ、ごめん。俺もう限界」
「は？何が……んんっ！」
照れ隠しで暴れる腕をとって、さっきと同じように引き寄せる。
ずっと我慢していた分と
俺を騙したお仕置きの分と
ミツが大好きって気持ちの分。
色んな感情を乗せて触れた唇は、不思議とさっきよりも甘いような気がした。
「……おいしい」
「おまっ…変態かよ！」
「うん、そうかもしんない」
「認めんなよっ」
またしても本音がこぼれちゃって、それを聞いたミツは顔を真っ赤にして照れていた。
確かに今のは我ながら気持ち悪い発言だったなと思うけど、そもそも俺が変態になっちゃうのはミツのせいなんだからね？そこんとこ、ちゃんとわかってるのかな？
「ねぇ、もう一回してもいい？」
「…いちいち聞くなよ」
「だって、いきなりしたらしたで怒るじゃん」
「っ、別に、怒ってるわけじゃねーよ！」
「うん、知ってる」
「なっ…！」
キスする前だっていうのに、本当に色気の欠片もない俺たち。
でも、照れ屋なミツと頼りない俺の組み合わせなら、これくらいがちょうどいいのかも。
ミツは本気にしてないかもしれないけど…
俺はもう一生、ミツ以外とキスする予定はないって言ったこと、嘘じゃないからね？
「…やっぱ、ミツはおいしい」
「…っ、も、黙ってしろよ…っ」
「はーい」
キスの合間につい無駄口を叩いてしまう俺の頬を、ミツの小さな両手が引っ張る。
それを可愛い催促と受け取った俺は、膨れるほっぺの下で俺を待つ唇に、優しくキスをした。
ミツの愛らしい唇に触れて、独特の苦味が鼻に抜けていくたびに
俺はいつも、あの有名な曲のワンフレーズを思い出してるんだよ。
俺にとっての最後のキスも、
タバコの香りがするミツとがいいなぁ。
…なんて、そんなこと言ったら、ミツはまた「お前は俺と別れたいのか！？」って怒るだろうから、言わないけどね。
fin.
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作者名：いちはら
| 作成日時：2015年8月22日 16時
