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赤いリボンをほどいたら(5) ページ37

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「北山…俺ね、ずっと後悔してた」

「え…?」

「北山との関係を中途半端にしてたこと…はっきり気持ち伝えなかったこと、後悔してたんだ」

「…藤ヶ谷…」



ぽつりと呟いた言葉に、俺の胸元に埋めていた顔を上げようとする北山をそっと手で制して、また胸元に閉じ込める。

そんな弱虫な俺の意図を汲んでくれた北山は、顔を上げる代わりに、優しく抱きしめ返してくれた。


北山の小さな両手の温度が、コートを貫いて俺の背中に伝わってくる。

少しでも身動ぎすれば解けてしまいそうなその拘束は、俺の胸を締め付けるには十分すぎて、喉元に控えていた次の言葉を震わせた。



…でも、言わなくちゃ。

カッコよく伝えられなくてもいいから、まっすぐな俺の気持ちを、今度こそ。





「…今まで、ちゃんと伝えられなくてごめん。言葉にしなくてごめん。踏み出せなくてごめん」

「………」

「俺、北山のことが好き。大好き。ずっと、ずっと好きだった…」

「…ふじがや…」



か細く震える弱々しい声は、北山の耳にちゃんと届いたかな。

北山と俺はずっと同じ気持ちでいると信じてるけど、やっぱり言葉にするとその重みが怖くなるよ。




この重みの、たったひとかけらでもいい。


どうか…どうか、その胸に届いて。




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作者名:いちはら | 作成日時:2015年12月20日 19時

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