キングな君は俺だけのクイーン(2) ページ31
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「…あのさぁ。お前って俺のなんなの?」
「ふぇっ!?」
俺をアイドルらしからぬ変顔にしたまま、藤ヶ谷は何を思ったのか、突然背筋が凍るような恐ろしい質問を投げかけてきた。
まさか俺、こんなロマンチックなロケーションでフラれる…!?
「北山は俺の彼氏じゃねーの?」
「かっ!かれひでふ!!」
かと思いきや、俺はまだ藤ヶ谷の彼氏のポジションに収まれていたらしい。よかった…!
「っくく、ブッサイクな顔だなぁ」
「むぅ…誰のへいで…」
「…でも、こんな顔してても好きなんだよな」
「え……」
ふ、ふ、藤ヶ谷が…デレた…!?
今のは俺の都合のいい幻聴かと思うような、信じがたい呟きが聞こえた、次の瞬間。
俺のひょっとこみたいな唇に、大好きな甘い唇が重なった。
「……!!」
「…ん、」
あまりに突然の出来事に、ここが外で、人の多い場所だってことも忘れて惚けてしまう。
だけど幸い、周りは俺たちのことなんて誰も見ちゃいなかった。それどころか、似たようなことしてるカップルが結構いて、そっちに驚いた。
瞬きの間に離れていった甘い温度すら幻かと思ったけど、目の前で不敵に笑う藤ヶ谷の顔が、今のキスが現実だったことを伝えている。
あぁ…この顔は「俺の彼女」じゃなく、世の女性たちを意のままにできる「キング」の顔だ……
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作者名:いちはら | 作成日時:2015年12月20日 19時