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ジェラシーをください ページ26

#1




レギュラー番組の収録を終えた後、スタッフさんと軽い打ち合わせを済ませてから楽屋に戻ると、残っていたのは藤ヶ谷一人だった。

無言でスマホをいじるその姿は明らかにご機嫌ナナメで、俺はすぐにその原因に思い当たる。


さっきのゲストさん、若い女性だったもんなぁ…。





「待たせてごめんな?」

「…………」



努めて明るく声をかけた俺を藤ヶ谷は無言で睨みつけると、向かいのソファーを顎でしゃくった。

あぁ…これは相当ご立腹だ。お気に入りの店のケーキだけじゃ許してもらえないかもしれない。


どうやって姫のご機嫌を取ろうか、そんなことを考えながら大人しく向かいに腰掛けた直後、地を這うような低い声が楽屋に響いた。




「お前、ずいぶんいい度胸してんな。俺の目の前で浮気とか」

「………」



やっぱり、そう来ましたか。



「あんな女にヘラヘラ媚び売って、バッカじゃねーの?」

「ごめんな、ヘラヘラしてるつもりは無かったんだけど…」

「嘘つけ、してただろ思いっきり。そうやってお前が甘やかすから、あの女も調子に乗って色目なんか使ってくるんだよ。あーもうマジムカつくわあの女」



吐き捨てるようにそう言って、藤ヶ谷は鋭すぎる目つきで床を睨み付けた。そこにあのゲストさんの顔でも見ているのか、眉間の皺はどんどん深くなっていく。

そんな不機嫌マックスの藤ヶ谷を目の前にして、俺は顔がニヤけるのを止められない。


だって、こんな可愛いヤキモチってある?

目尻を吊り上げて、口を尖らせて、眉間に皺を刻みながらどれだけ暴言を吐いても、俺にはそれが「北山大好き!」って言ってるようにしか聞こえないよ。



.

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作者名:いちはら | 作成日時:2015年12月20日 19時

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