赤いリボンをほどいたら (ページ18)

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PM20:15 小説／恋愛(2) ページ18

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二歩、三歩と近付いて、四歩目を踏み出した時。

「…あ、」

「！」

本から顔を上げてこっちを見た彼の視線と、じっと彼を見つめていた俺の視線が、二人の真ん中でぶつかった。

「あっ…あの、」

「もしかして…北山さん、ですか？」

「えっ！？」

見ず知らずの綺麗な男の人に突然名前を呼ばれて、思わず声が裏返った。

距離を詰めようとしていたこの状況をどうやって弁解しようか、頭をフル回転させて考えていた言い訳も全部吹っ飛んで、ただ目の前の整った顔を凝視する。

…どこかで会ったことあったっけ？

こんなに綺麗な人、一度見たら絶対忘れるわけがないのに…俺の記憶の中には、この人の姿はどこにもない。

「あの…なんで俺の名前…」

「あ、すみませんいきなり…ここに＜北山＞って書いてあったから、もしかして店員さんがそうなのかなって…」

そう言って近寄ってきた彼が見せてきたのは、俺が書いた書評だった。

俺を見下ろす綺麗な顔を直視できなくて、柄にもなく目を逸らしてもじもじしてしまう。

「それ書いたの、俺です…」

「やっぱり、そうだったんですね。この書評、本に対する愛情がすごく感じられて…感性が素敵だなって思いました」

「ぁ…ありがとうございます…」

ものすごいイケメンに声をかけられて感性を褒められる、なんて滅多にないことに戸惑って、二階堂にでも見られたら爆笑されそうなほど縮こまってしまう。

お客さんからそんな言葉をかけてもらえるなんて、本当に光栄なことだ。

……ん？あれ？

ちょっと待てよ……？

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