まいにちふじきた(たまにきたふじ) (ページ1)

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01. あなたからページ1

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「なー、玉すごくね？」

「は？なんの話？」

「これこれ！」

晩ご飯をたらふく食べてソファーでごろごろしていた北山が、突然なんの脈絡もなく玉を褒めた。

ハテナマークを浮かべる俺に向かいから腕だけ伸ばしてスマホを突き出してきたから、素直にその画面を覗き込めば、そこにあったのは玉の可愛らしい日常。

「なんだかんだ言って、あいつちゃんと『まいにちたまもりゆうた』してるよな」

「そうだな。正直こんなに長続きするとは思ってなかったかも」

「だよな！あいつすげーわ」

忙しいのに偉いなー、なんて言いながら、北山はごろんと仰向けに寝転がってスマホを眺めた。

にこにこと画面に向かって微笑みかける顔はまさに兄のそれで、可愛い弟のがんばりを自分のことのように喜ぶ姿に、こっちまでほんわかした気持ちになる。

弟想いの兄がこんな風に自分の日記を読んでること、当の弟は夢にも思ってないだろうけど。

それから…

そんな微笑ましい姿さえも利用しようとするイケナイ弟が、ここにいるってことも。

「玉を見習って、北山も毎日なんかやってみたら？」

「え？俺が？」

「そう。例えば…」

きょとんとする北山に手招きすれば、なんの疑いもなく身を乗り出してくる。

無防備で兄弟愛に溢れたお兄ちゃんには悪いけど、俺は北山の日記なんて可愛らしいものは求めてないよ。

記録より記憶に、って、よく言うじゃん。

だから、ね。

「まいにち、俺にキスして。」

end.