すすめ!リア充撲滅委員会(2) ページ35
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「あ…ごめん、今忙しい?」
「いや、別にいいけど…」
丁寧にノックをして教室に入ってきたのは、北山の元クラスメイトであり、二階堂の現クラスメイトである藤ヶ谷だった。
北山と藤ヶ谷は特に仲が良いわけではなく、会話をすることもほとんどない間柄である。
しかし、藤ヶ谷が北山とは対極に位置する「モテ男」であるために、北山が一方的に藤ヶ谷を目の敵にしていたのだ。
「…なに、なんか用?」
「うん…その、用っていうか…」
そんなことなど知る由もない藤ヶ谷は、北山の目の前までやって来ると、どこか恥ずかしそうに目線をさ迷わせた。
何か言いたそうに口を開いては閉じ、開いては閉じ、その繰り返し。
挙動不審なその様子に北山は眉を顰め、二階堂と宮田は不思議そうに顔を見合わせる。
そうして、しばらくの間もじもじと指先を擦り合わせていた藤ヶ谷だったが、ようやく心の準備が整ったのか、キリッとした涼しい瞳をまっすぐに北山へと向けた。
「…あの、さ。北山は、クリスマスの予定とかって、もう決まってる?」
「……は?」
「「!?」」
決意を固めた藤ヶ谷から飛び出したのは、3人がつい先ほどまで話題にしていた単語。
そんなタイムリーな5文字を、それもまさか藤ヶ谷の口から聞くとは思わず、3人は揃って固まってしまった。
その上、藤ヶ谷はこう言ったのだ。
「北山は、クリスマスの予定はもう決まってる?」と。
普通に考えれば、これはデートの誘いフラグ以外の何物でもない。
しかし…相手は同性である。
「…な…なんでそんなこと聞くわけ…?」
さすがの北山も、声の震えを隠すことができない。
だが藤ヶ谷は、先ほどまでの「もじヶ谷」が嘘のように、攻撃の手を一切緩めず畳み掛けてきた。
「なんで、って…今年のクリスマスは、北山と過ごしたいなって思ったから。」
「えっ…」
「北山のクリスマス、俺が予約してもいい?」
「なっ…えっ…!?」
「ちなみにこれ、デートのお誘いだから。北山もそのつもりでいてね」
「!!!」
立った…フラグが立った…―――!!
ことの一部始終を目撃していた二階堂と宮田の脳内には、この言葉が踊ったに違いない。
それは、非リア男子にとってはもはや都市伝説となっていた恋愛フラグが、きらめくピンク色をまとって、北山の前に突き立てられた瞬間だった。
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作者名:いちはら | 作成日時:2016年2月10日 0時