キタヤマボックスR (ページ21)

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交わす熱いざなう君のみだれ髪(3) ページ21

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「北山宏光さん、才能ナシ。30点」

「えっ、うそぉ！？なんで！？どこがダメだった！？」

「ストレート過ぎて情緒がないから、俺の好みじゃない」

「ウッ…！さすが特待生…厳しい……」

またしてもガックリと項垂れたミツは、特待生の切れ味鋭い指摘でとうとう心が折れたのか、膝を抱えてすんすん言い始めた。

ちょっとかわいそうな気もするけど、でもこうなったミツのテンションを元に戻すのは至って簡単なことだから。

未だに俺たちの様子を遠巻きに窺っている双子に一瞬だけ目配せすると、俺はテーブルに放置されていた本を適当に開いた。

「…ミツ、こっち向いて。」

「なんだよぉ…どーせ俺はミスター才能ナシだよぉ…」

「そんなにいじけてないで…ほら、ここ見て。このページ」

あやすような俺の声色に、特待生の添削でも始まるのかとゆっくり顔を上げたミツの肩に手を回して、すかさず引き寄せる。

膝を抱えていたせいで、バランスが取れずにころんと俺の胸に倒れ込んできた小さな体を抱き留めて、きょとんとする可愛い顔を覗き込んだ。

あぁ…やっぱり、仕事場ではキスなんかしたくなかったな。

その先が欲しくなるのは、俺だって同じなんだから。

「さっきの句…嬉しかったよ」

「え？ …っん……！」

季語の効果的な使い方が説明されている、ミツにはまだちょっと難しいページ。

その内側で、まるで先生に隠れてする授業中のキスみたいに、俺たちはそっと唇を重ねた。

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