検索窓
今日:15 hit、昨日:12 hit、合計:341,996 hit

交わす熱 いざなう君の みだれ髪(2) ページ20

.



俺がどう出るのかを楽しんでいる二人を軽く睨みつけていると、諦めの悪いミツが「良いこと思いついた!」と言いながら腕に縋り付いてきた。

ミツにとっての良いことは、つまり俺にとっての悪いことなんだけど…。




「横尾さん、俺が上手に俳句作れたらキスしてくれる?」

「……はい?」

「お題はキスね!横尾さんが査定して!」

「え、ちょっと、」



言うが早いか、ミツは俺から没収した本を適当にめくりながら、うんうんと唸り始めた。

どう見てもちゃんと読んでいるようには見えないけど、たかがキス一つでここまで必死になるその姿が、何だか妙にいじらしくなってくる。


双子の策にハマるのは癪な気もするけど…一回くらいなら、してあげてもいいかな。

その一回で満足してくれるとは、到底思えないけどね。





「っしゃ、できた!!」

「え、もう?」

「うん!色々考えたけど、これしか浮かばなかったからさー」



結局指先で弄ばれただけのかわいそうな本を閉じて、ミツはにっこりと笑いながら俺を見上げた。

きゅるんとしたその眼差しに、あ、今キスしたいかも、なんてあまりにも勝手なことを考える。



「それでは、発表します!」

「…どうぞ。」

「『キスしたら その先もっと 欲しくなる』」

「……………」

「ど…どうかな!?」



キラッキラの期待に満ちた目で、まるで本当の順位発表みたいに手を合わせて俺を見つめてくる、ミスター凡人。

一回じゃ足りない、一回したらその先が欲しいっていう、想像通りの欲望丸出しな句を披露されて、ミツの素直すぎる感情表現に思わず苦笑いがこぼれた。


ここに先生がいなくてほんとに良かったよ。



.

交わす熱 いざなう君の みだれ髪(3)→←交わす熱 いざなう君の みだれ髪▽横北



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (314 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
612人がお気に入り
設定タグ:藤北 , 玉北 , 横北
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いちはら | 作成日時:2016年2月10日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。