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くちびるにハニートラップ▽横北 ページ11

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収録の前に楽屋で弁当を食べていたら、口を開けた瞬間にピリッと小さな痛みが走った。


あー、この感じ、また唇切れたな。まぁ、いつものことだから気にしないけど。



面倒だから唇が切れてもつい舐めるだけで済ませちゃう俺は、人に貸すためのリップは持っていても、自分で使うためのリップは持ち歩いていない。

俺の唇の乾きっぷりが気になるらしい太輔が、時々「これおすすめだよ」って高そうなリップをプレゼントしてくれるけど、それも結局カバンにしまったままだ。ごめん太輔。



人の世話を焼くのは好きだけど、自分に手間をかけるのって、ついついサボりがちになっちゃうんだよなぁ。

太輔もミツも裕太も、いつも唇プルプルしててすごいわ。






そんなことを考えながら弁当を食べ終えて歯磨きを済ませた俺は、打ち合わせ帰りのミツと廊下で会って一緒にスタジオに向かう道中、ミツの唇をガン見していたらしい。



「…横尾さん、俺の顔になんか付いてる…?」



食い入るような俺の視線に耐えきれなくなったらしいミツが、おずおずと問いかけてきた。




「あ…ごめん、つい無意識に見ちゃってた」

「えぇっ、なんだよそれー?あんまり真剣に見つめてくるから、ちょっとドキドキしちゃったじゃん!」

「あははっ、俺相手にドキドキしたの?」

「そりゃするよ、あんな目でじっと見つめられたら!」



もう、ドキドキして損したぁ!なんて言いながら照れ笑いするミツに、なんだか胸の奥がほっこりした。こういう素直な反応するとこ、ほんと可愛いと思う。



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作者名:いちはら | 作成日時:2016年2月10日 0時

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