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釘崎野薔薇は一年生の中で紅一点である。周りはむさ苦しい野郎共。元々、呪術師は女性が少ない。真希さんと慕う先輩は男勝りというかそこら辺の男よりよっぽどイケメンだ。化粧やファッションには付き合ってくれる。けれど、照れ臭いような笑みで。


「私には似合わねぇよ」


なんて言うのだ。断じて違うと大声で叫んだ。着飾る真希さんが美しくない訳がない。いつもの真希さんも格好いい、お洒落をする真希さんも綺麗で格好いい。女性が自分を磨くことの何が悪いのだ。お洒落をして綺麗になった自分を愛して何が悪いのだ。

そんなことを言わせるなんて、やっぱり呪術界は腐ってる。一年生だが男尊女卑の傾向を覗かせる実態を経験したこともある。まぁそんなことを言われていちいち気を裂くほど、か弱い乙女ではないが。閑話休題。

真希さんと連れてブティックや化粧品店に行くのもいいが二年生の女子は彼女だけではない。そう。菜々子と美々子である。夏油先生の養子。これだけで少しの闇が窺えるが、彼女たちは何というか、今時の女子高生だった。いや呪術師なのでイカレてはいるのだ。夏油様と呼んだことなど、命の取捨選択は速い。特に非術師のクズに対しての警察への通報は迅速だった。あの時は凄く格好よく見えた。

話を戻そう。今時の女子高生なのだ。化粧やファッションのことは彼女たちを交えて話せばよく盛り上がった。彼女たちもそういうことを話せる女子は少なかったのだろう。一年生だが二年生の中では一番と言っても良いほど、仲が良いと自負している。何故こんなにも長たらしく語っているかというと。







「先輩。このネイルポリッシュ良かったですよ、先輩たちもつけてみません?」

「あ、それ雑誌に載ってたやつ!!早速買ったんだ!つけるつける!!」

「いいの?結構人気なのによく買えたね」

「実は穴場の化粧品店があってですねー。今度一緒に行きましょ」


きゃっきゃ、と教室で声を弾ませる三人の姿は血生臭い戦場とは合致しないまさに”女子高生”と言うに相応しい。それを扉の近くで暖かい目で見詰める教師が一人。


「あっ、夏油様」

「見て見て!どうですか?似合ってます?」

「うん、良く似合ってるよ。黒のネイルが大人っぽくていいね」

「夏油先生の色ね」


それを聞いて満面の笑みを浮かべる。今日も可愛い娘と生徒が元気で飯が美味い。これも日常の一幕であることが喜ばしいのだ。

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作者名:ボーダーライン | 作成日時:2021年11月4日 16時

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