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三輪の内心などつゆ知らず。五条はここに来た要件を話し出す。楽巌寺に悪態をつくだけじゃないのだ。
「昨晩、未登録の特級呪霊に襲われた」
「!」
「それは災難じゃったの」
「勘違いすんなよ。僕にとっては町でアンケート取らされた位のハプニングさ」
「(くぅぅ〜カッッケェー!!)」
予期せぬ特級呪霊との遭遇をそう言いのける姿に三輪のボルテージも上がる。まぁ、普通なら焦ったり負傷したりするからな。漏瑚にとっては屈辱以外の何物でも無いが。
「その呪霊たちは意思疎通が図れたし、同等級の仲間もまだいるだろう」
「敵さんだけじゃない。秤に乙骨、そっちの東堂。生徒のレベルも近年急激に上がってる。去年の呪詛師の男の一件、そして現れた宿儺の器」
「何が言いたい」
「分かんないか」
「アンタらがしょーもない地位や伝統のために塞き止めていた力の波が、もうどうしようもなく大きくなって押し寄せてんだよ」
これは警告であり、宣戦布告であり、ある意味実体験だった。それを身をもって言葉でもって歯をむき出して嗤いながら温床にいる保守派筆頭に浴びせる。
「これからの世代は”特級”なんて物差しじゃ測れない」
「牙を剥くのが
「少し、お喋りが過ぎるの」
片目を覗かせて凄ませる。その気迫は一般人ならば恐怖に震えるほどだ。
「おー怖!!言いたいこと言ったから退散しよーっと」
「あ、夜蛾学長は二時間位でくるよー」
「二時間!?」
じゃーねー、なんて言いながら呪術界の革命児は去って行った。軽く言われても、二時間も待つのかよ。予想外の人物との応酬は神経を張ったのだろう。ため息を吐き口を開く。
「三輪、茶を買うてきてくれ」
「はい!!」
「(追いつけたら一緒に写真撮ってもらおう)」
二時間も待つのなら飲み物は必要だ。写真を撮るつもりならば少し時間はかかるが。案の定と言う訳か、三輪は写真を撮ってもらった喜びでお茶を買うのを忘れて戻ってきた。
一方、東堂は無事会場について個握を存分に楽しんでいた。
「高たんビームお願いします」
「いきますよー♡たんたかたーん☆」
「わぁ〜」
「お時間でーす」
時間だと呼びかける従業員の目は虚無っている。いつものことなのが窺える。頑張れ、負けるな、今日を生きろ。
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作者名:ボーダーライン | 作成日時:2021年11月4日 16時