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高専内、校庭の端。自販機が設置されている所から少し離れた地面。転がった状態から立ち上がる伏黒に涙を拭い東堂が近寄る。


「一目見た時から分かってた。あぁコイツは退屈だと。でも人を見た目で判断しちゃあ、いけないよな」

「だからわざわざ質問したのに、オマエは俺の優しさを踏みにじったんだ」

「もしかして頭の中までパイナップルなのか?」

「(東堂…、あの東堂か!!)」

「(去年起きた呪詛師の男による未曾有の呪術テロ”新宿・京都 百鬼夜行”)」

「(京都の夜行に現れた一級呪霊五体、特級呪霊一体を一人で祓ったっていうあの東堂!!)」


あの質問で半信半疑だったが。まぁ、呪術師はイカレている奴しか務まらないので然もありなん。京都のその戦績は伏黒の耳にも入っているほどだ。


「(だが特級に勝てる一級術師はいるにはいる。驚くべきは…)」

「アンタ術式、使わないんだってな」

「ん?あぁ、あの噂はガセだ。特級相手には使ったぞ」

「(一級には使ってねーのかよ!!化物が!!)」

「安心したよ!!」


「”鵺”+”蝦蟇”」

「”不知井底(せいていしらず)”」







それは伏黒が生み出した十種影法術の拡張術式。鵺と蝦蟇。二つの式神を合体させて、蛙に翼がついている姿が特徴的。拡張術式故、破壊されても再具現できるのが強みだ。


「(相手はゴリゴリの近接タイプ。距離をとり、拘束する)」

「!!」


だが、一息の間に東堂は背後に回っていた。距離をとるのも拘束するのも相手より速く動かなければならない。伏黒が想像するよりずっと、東堂は俊敏だった。


「(速い!!さっきのが全速じゃ)」


後ろをとった東堂は腹に腕を回し抱え上げる。不知井底はその速度に追いつけない。


「薄っぺらいんだよ。体も女の好みも」

「〜〜っ!!」


腕を回したまま反り返り、ジャーマンスープレックス。後頭部が地面に叩きつけられ血が噴き出す。腕で拘束を解き一度離れて起き上がるが顔を掴まれドゴッ、と離れた高専の建築物の柱に頭を押し当てられる。その衝撃で伏黒の頭を中心に柱に打痕が大きくついた。


「終わりじゃないぞ」


抵抗する様子を尻目にそう呟き。より力を込める、柱を突き破り下から上に斜めに打ち上がった。空中に投げ出された伏黒の頭は鮮血が大量に流れている。


「例に漏れず、退屈」

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作者名:ボーダーライン | 作成日時:2021年11月4日 16時

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