＊ ページ37
「へぇ」
「(逃げられた。気配を消すのが上手いな。火山頭よりもよっぽど不気味だ)」
「このレベルの呪霊が徒党を組んでるのか、楽しくなってきたねぇ」
そう言う五条の背後には土下座をし自身の非を詫びながらも責任の一端は先生にある、と説く虎杖の姿。それはそうだが取りあえず土下座はやめた方がいいと思う。絵面が酷い。
「悠仁…、っていうか皆にはアレに勝てる位強くなってほしいんだよね」
「アレにかぁ！！」
「目標は具体的な方がいいでしょ。いやー連れてきてよかったー」
「いや、何が何だか分からなかったんだけど。マジかこの人」
漏瑚に勝てる位、つまりは特級呪霊に勝てる位の力をつけろと。確かに目標は具体的だが難易度はルナティック。五条相手だったから今回の漏瑚は始終劣勢だっただけだ。
「目標を設定したら後はひたすら駆け上がるだけ。ちょっと予定を早めてこれから一月、映画観て僕と戦ってをくり返す」
「先生と！？」
「その後は実践。重めの任務をいくつかこなしてもらう。基礎とその応用、しっかり身につけて」
「交流会でお披露目といこうか」
「はい、先生！！」
「はい、悠仁君！！」
「交流会って何？」
「言ってなかったっけ？」
おい、五条悟。(28歳 成人男性)報連相は社会人の基本だぞ。
料亭、一室。不機嫌極まる夜蛾の向かいの椅子に。汗を噴き出し目を泳がせる伊地知。……悟、と先に来ていた夏油は密かにため息をついた。
「遅い！！」
おい、五条悟。(28歳 成人男性)五分前行動は社会人の基本だぞ。
都内某所。黒ずくめの男がマンションの一室の扉を開く。高い金属音を上げ、開いた先には、海。砂浜に波が押し寄せるそこはマンションの一室などではなかった。恐らく特定の扉を開くことで辿り着けるのだろう。
「随分と穏やかな領域だな」
「漏瑚はどうしたの」
「瀕死だ。花御が助けに入ったから恐らく大丈夫だろう」
砂浜にあるパラソルの下の椅子にいる呪霊と言葉を交わす。領域と言った。つまりここは領域展開で現れる領域内ということだ。攻撃がこないことを鑑みると幾分か調整は出来るようだ。
「無責任だな。君が焚きつけたんだろ」
「まさか。俺は止めたんだ」
「噂をすれば」
扉を開き、入ってきたのは大柄の花御、と呼ばれた呪霊。片手には頭だけになった漏瑚。
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作者名：ボーダーライン | 作成日時：2021年11月4日 16時
