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「出かけるよ、悠仁」
「えぇ!?」
今からか、自分が外に出てもいいのか、そんな感情が埋め尽くす。虎杖の死亡を報告書で出されているにも拘わらず外出するなんて。だが。
「課外授業。呪術戦の頂点」
「”領域展開”について」
「教えてあげる」
身をもって知らなければ分からないこともある。体で感じ、目で見て、教えるのも教育だ。だって虎杖はまだまだ成長途中の卵であるから。これを喰ってまた一歩、前に進んでくれ。
山林に囲まれた湖。漏瑚の前に虎杖を連れて今一度現れた五条は、相も変わらず余裕の笑みを携えて語りかける。
「見学の虎杖悠仁君です」
「先生、俺十秒位前まで高専にいたよね。どーなってんの?」
「んー。トんだの」
「(あ、説明する気ないな)」
五条の術式、無限を現実に持ってくる”無下限呪術”。収束する力、蒼を応用して瞬間移動も出来る。攻撃を目にも留まらぬ速さにすることで漏瑚が受けた打撃が出来る。速さとは重さである。まぁ、つまりは飛んだのだ。ガチで。
「(宿儺の器…。やはり生きていたか)」
「……」
虎杖に生存を視認して、脳裏によぎるモノがあった。それはあのファミレスでの会話。
___「五条悟を戦闘不能にし、両面宿儺、虎杖悠仁を仲間に引き込む」
他の術師を加勢として連れてきたのならまだしも。宿儺の器、虎杖をここで殺すことはできない。思考を回して言葉を選ぶ。
「(今後のため、虎杖は殺せん。まさか我々の目的に気づいて…?)」
「なんだ、そのガキは。盾か?」
「盾?違う違う。言ったでしょ。見学だって」
「今、この子に色々教えてる最中でね。ま、君は気にせず戦ってよ」
「自ら足手纏いを連れてくるとは。愚かだな」
なんで俺たち沈まねぇの?、端から疑問に思う虎杖。水面との間に無限が張られているので沈むことはないのだ。それはそれとして、特級との戦いに数段劣る呪術師を連れ込むとはとせせら笑う。そんな漏瑚に軽く笑い声を上げてこう言い放った。
「大丈夫でしょ。だって君、弱いもん」
その一言は当然のように告げられて。
「舐めるなよ、小童が!!!そのニヤケ面ごと飲み込んでくれるわ!!!」
側頭部にある詰め物を吹き飛ばし頭頂部からも怒りと共に炎を噴き出す。青筋を浮かべ目を血走らせる姿はまさに、烈火のごとくと称するに相応しい。
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作者名:ボーダーライン | 作成日時:2021年11月4日 16時