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高専、校庭。釘崎がパンダに追われているのを、傍で見ているジャージ姿の狗巻と真希が気付いた。


「おっせぇよ、恵」

「こんぶ」

「何してた」

「なんでもいいでしょ」


ジャージに着替えた伏黒が合流したようだ。母親のことは、言わない。言わなくていい。そのかわりに。


「…禪院先輩は、呪術師としてどんな人たちを助けたいですか?」

「あ?」

「別に私のおかげで誰が助かろうと知ったこっちゃねぇよ」

「聞かなきゃ良かった」

「あ”ぁ?」


聞いても聞かなくても自身に何も変わらないなら、聞いた意味などない。そんな心の声がボソッと溢れた瞬間だった。そういう伏黒に一人の怒声がぶつけられる。


「伏黒ォ!!!」

「面接対策みたいな質疑応答してんじゃないわよ!!」

「交代!!もう学ランはしんどい!!可愛いジャージを買いに行かせろ!!」


パンダに捕まりブンブン振り回されながら叫ぶ釘崎。あ、投げられた。


「あの二人は何してんですか?」

「オマエらは近接、弱っちいからなぁ」

「まずは私らから一本取れ」

「話はそれからだ」


ちなみに一年生(虎杖含め)は甚爾の体術訓練を経験している。その経験談をちょっとお見せしよう。






高専内、室内訓練場。そこに一年生である虎杖と伏黒に釘崎は五条と夏油に連れられてきた。今日の三限目である”体術訓練”だ。


「体術訓練はまだ会ってない二年生とやることもあるけど、今日は講師の先生と行うよ」

「勿論、私たちも指導することもあるけどね」

「へー。講師ってどんな人?」

「私たちの知ってる人なの?」

「……」

「会えば分かるさ。あっ、来た来た」


訓練場の扉を開き、入ってきたのは。上がピチッとした服故に鍛えられた筋肉が分かる大柄で、口に傷のある目鼻立ちがいい男性。そして特筆すべき箇所があるとすれば。


「遅いよ、甚爾。時間はちゃんと伝えただろう?」

「うるせぇな。馬が俺を呼んでたんだよ」

「はーい。この遅刻して来た人が、体術講師の伏黒甚爾。うん。見れば分かる通り、恵の父親だよ!」

「マジでそっくりじゃん!!」

「遺伝子仕事しすぎでしょ!!」

「こっち見んな」


遅刻なんて五条に責める資格はないが、そういうことである。思わず虎杖と釘崎が甚爾と伏黒の顔を見比べた。この反応を二年生と五条、夏油も経験したのは当然だ。

この後。一年揃いもそろって床とディープキスをしたのは、もう洗礼である。

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作者名:ボーダーライン | 作成日時:2021年11月4日 16時

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