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左腕を前に右腕は添えるように両手は握りしめて、呪力を研ぎ澄まし、言の葉を紡ぐ。
「
「!」
驚きと共に口を噤んだ。静寂に雨音が、響き渡る。
「…俺は」
「オマエを助けた理由に論理的な思考を持ち合わせていない」
「危険だとしても、オマエの様な善人が死ぬのを見たくなかった。それなりに迷いはしたが結局は我儘な感情論」
「でも、それでいいんだ」
「俺は
「だからオマエを助けたことを、一度だって後悔したことはない」
「…そっか」
伏黒の独白に答えたのは紋様が消えていく、自死する度胸はないと宿儺に言わしめた虎杖。彼は、戻ってきた。たとえ自らの死があろうと。
「伏黒は頭がいいからな。俺より色々考えてんだろ」
「オマエの真実は正しいと思う。でも、俺が間違ってるとも思わん」
「……」
「あー、悪い。そろそろだわ」
心臓に空いた穴から血が地面に滴り落ちる。宿儺ならば心臓がなかったとしても生きていられるが、虎杖はそうもいかない。反転術式を施されなかったその体では数分も持たないだろう。
「伏黒も釘崎も五条先生と夏油先生…は心配いらねぇか」
「長生きしろよ」
ドサッ、重い肉が落ちたような音を立てて倒れ伏す。虎杖悠仁は、その体を起こすことはなかった。
<記録__2018年7月 英集少年院運動場 上空>
<特級仮想怨霊(名称未定)その呪胎を非術師数名の目視で確認。緊急事態のため高専一年生3名が派遣され>
<内一名 死亡>
もう、
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作者名:ボーダーライン | 作成日時:2021年11月4日 16時