【呪術廻戦】 これは、君を待つまでの物語

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過去から呼び出されたのなら、1ヶ月前に里桜高校で会った彼女と容姿が違うのは当然だ。2007年の目の前にいる彼と彼女が11年も経っているのだから、伏黒が成長したように2人も年を重ねたのだろう。それより夏油と五条の思考回路に引っかかったのは、彼女が口にした高専の制服というキーワード。幼かった伏黒が制服を着ているから未来だと判断したのは分かる。だが、高校の制服が多数ある中、どうして呪術師の要たる呪術高専の個人でバリエーションの違う制服で共通する渦巻きのボタンを知っているのか。

呪術界では周知の事実でも普通の一般人なら、知る由もない。呪術師でもない彼と彼女は呪術を他人に教えられる程馴染みがあり、1級呪霊や瀕死であったが特級を祓える実力もある。ただの一般人とはどう足掻こうが言い切れない実態は深まる謎であり、いやはやいっそ拷問してでも暴きたいと追及する五条と夏油は爛々と目を光らせた。

無邪気な子供のように笑う教師に気づいていながら興味がないのか目下の2人は口を出した虎杖を矯めつ眇めつ視線を注ぐ。整った美形に見つめられて虎杖は少したじろいだ。


「にしても、君は随分と不思議だな。禍々しい呪力を感じるのにそれを覆うように別の呪力もある。気配が歪だ、2つあるようで1人の人間に収まっている。実に興味深い」

『私もさっきから気になってたんだよね、話してる様子じゃ君にそんな負の感情を覚える要因があるとは思えないし。いや、待てよ』

『………もしかして君って＿＿＿受肉体？』







びくり、と肩を震わせた虎杖に悪戯っ子みたいに当たり、と彼女がほくそ笑み彼が成程な、と琥珀の瞳を細める。これまで初対面で虎杖についての知識がなく呪術界に飛び込むきっかけとなった両面宿儺の受肉を悟られたことは六眼という詳細に呪力を読み取る目を持つ五条だけ。呪術師の経験が長く特級にもなる夏油ですら、受肉しているかは宿儺と入れ替わった時に分かったのだ。

虎杖に身体にある2つの呪力の違い、気配の精密感知を察知できる2人の底知れぬ技量に五条と夏油、虎杖、吉野、釘崎はともかく呪術を教わった伏黒でさえも驚きを隠せない。へぇ、と夏油が零した。どうやら受肉体のことまで彼と彼女は知っているらしい。最早単なる一般人の域を超えている。どこかの組織に属しているなら尚更逃す訳にはいかない。決意を新たに一挙手一投足を観察する最強コンビを余所に2人は意気揚々と虎杖に話しかける。


「これだけ自我が残っているなら素質があるんだろう。なんの呪物を受肉したんだ？」

「え、りょ、両面宿儺…の指」

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