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楽巌寺への推薦表明を終えて、暫しの間東堂と冥冥は慰労会を開催した。握りしめるのはビールが入ったジョッキ、ではなく卓球のラケット。漂う空気はアルコールや煙草混じりではなく消臭と換気が行われて清潔で澄み渡っている。耳に届くのは大勢の騒ぎ声ではなく自分たち以外の人間がいないことによる静寂。
そう、ここは遊戯施設。その中の卓球台が並ぶ一室である。無事目的が達成された喜びを謳歌する為に昂ぶる熱を運動で発散をしようと足を向けた。大体東堂は未成年なのだから居酒屋には行かない。行ける年代に見えるけれども。右手でラケットを構え、左手の指先で挟んだボールに視線を集中させた東堂は徐ろに語り出した。
「2名以上の1級術師から推挙された者は現役の1級、または1級相当の術師と共に幾度か任務をこなす」
「そこで適性アリと判断されれば準1級へと昇級し、続いて単独での1級任務へと
「
「意味も何も、それが全てじゃないか。Mr.東堂」
ボールをラケットの表面で強く叩き、回転をかけたボールは勢いよく台にぶつかりバウンドして左端へと飛んでいく。あわや地面に衝突して東堂の得点かと思いきや攻撃的な術式ではない分肉体の強化を怠らない冥冥が瞬時に反応して追いつき、見事に打ち返す。
跳ね返ってきたボールをここぞとばかりに東堂は冥冥のいない反対側に手首のスナップを効かせて打ち込む。カカッと台に当たる甲高い音を鳴らしボールは冥冥が受け止める間もなく少し離れた地に着地して転がった。
1級術師が喋りながらも変化球、速球と技を加えて相手の次に来る技さえも予測し対応する卓球はそんじょそこらの温泉で繰り広げられるものとは端的に言ってレベルが違う。楽々打つ球も普通の人間ならば動けずに見逃す程だ。そんな攻防より胸を打つ予感を東堂は恍惚に満ち溢れた声で告げた。
「青い未来…。つまりは、東堂葵と虎杖悠仁が共に任務へと立ち向かう青い未来が存在しているということ!!」
「…いや」
自ら言った発言に満足げに頷いた東堂に、少しの沈黙の末冥冥は否定の言葉を口走る。噂には聞いていたし、ここに来るまでで把握した。東堂の虎杖に対しての溢れんばかりの思い。交流会で意気投合した様子は(本人は同中だと言うが)もう呪術界には知れ渡っている。
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ボーダーライン(プロフ) - セツさん» わぁ、初コメ有難うございます!そんな、全然失礼なんかじゃないです。嬉しいです!コメントがやる気に繋がります。続編のプロローグは黒影にスポット当てようと思ってるのでご注目宜しければ。コイツの”叫ぶ”を書いた時は感情移入して泣きました。続き頑張ります! (6月12日 22時) (レス) @page50 id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - 初コメ失礼します。続編おめでとうございます!続き楽しみにしているので、頑張ってください! (6月12日 21時) (レス) id: a9c1286aea (このIDを非表示/違反報告)
ボーダーライン(プロフ) - そらさん» コメント有難うございます。2ヶ月近く更新してないので大分お待たせしてしまってすみません!完結まで構想練っているのであとは気力次第。ぼちぼちやりますかぁ!(逃げ道を絶つ)紆余曲折あると思いますがこの大長編にお付合い下さい。これでもまだ中盤なの(小声) (2023年3月27日 16時) (レス) id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 更新楽しみにしています! (2023年3月27日 0時) (レス) @page2 id: b809f0b9bc (このIDを非表示/違反報告)
ボーダーライン(プロフ) - ご指摘ありがとうございます!焦ったぁー!!気付かせてくれて本当に感謝! (2023年1月1日 14時) (レス) id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ボーダーライン | 作成日時:2023年1月1日 14時