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未だ毒が蝕む身体でも、もう1体残っている。今更和解など不要。逃さず祓う為に汗の噴き出る顔を拭うこともせず釘崎は標的、壊相を真っ直ぐ見つめて視線を逸らしはしない。その視線を感じていながらも、壊相は呆然と血塗を眺め続けた。9人兄弟の三男。存在だけは許され魂が劣化して命を失っていく下の弟たちを150年間共に苦渋の思いを抱えて繋がりあっていた可愛い弟。
受肉した時に彼の声を、姿を、表情を、感情を見て喜びに満ち溢れたものだ。理性的で冷静な兄たちとは違い、無邪気で明るい性格は行く先に立ちこめる不穏さを跳ね飛ばして癒やしを与えてくれた。あんなに元気に手足を動かしていたのに、あんなに天真爛漫にコロコロ形相を変えていたのに、もう手足が動くことはなく表情が変わることもない。死んで、しまったのだ。
現実を受け止めきれない心とは逆に脳は冷淡に現状を理解してしまう。震えた声が勝手に口から漏れ出した。
「血塗…」
＿＿＿「俺たちは三人で一つだ」
「(ごめん兄さん、私がついていながら)」
立竦む壊相の目から流れ落ちた雫にその隙を狙って拳を沈めようとして腕を振りかぶった虎杖は目を見開く。慈愛の涙。想定外の感情の振れ幅に追撃の手が止まる。
その後方でふと、釘崎が異変に気づいた。捕らえて離さない違和感。それは目線の先、倒れ伏した血塗に固定されていた。負の感情の塊である呪霊は祓われた際、ボロボロと飛散して消滅していく。だが、違うのだ。その様相で勘違いしてしまうのも無理はないが血塗も兄である壊相も似て非なるもの。動揺と驚きが呪術師たちを襲い、同時に釘崎の手も止まる。
「(コイツ、なんで消えない！？まだ生きて……違う！！)」
「(呪霊じゃない！！肉体があるんだ！！)」
そんな呪術師たちの背後に聳えるトンネルからぼうっと光が浮かびあがって微かな音が聞こえてきた。咄嗟に道路の両端へそれぞれ跳んだ車道の真ん中を2人の男が乗ったトラックが走行していく。
運転している年若い男も助手席に座る中年の男もどちらも捻り鉢巻きを額に巻いていて偶然通りかけたよう。”帳”を張っていれば一般人の侵入は防げたかもしれないが本来領域を展開している呪霊の討伐に来たのであって”帳”の必要性は感じられず、九相図が襲来するのは完全に予定外のこと。広範囲に逃げ惑わなければならない”翅王”を鑑みれば”帳”を下ろしたとて意味はなかっただろう。
不運なことに、特級相当の術師と戦っている最中に彼らはやって来たのであった。
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ボーダーライン(プロフ) - セツさん» わぁ、初コメ有難うございます！そんな、全然失礼なんかじゃないです。嬉しいです！コメントがやる気に繋がります。続編のプロローグは黒影にスポット当てようと思ってるのでご注目宜しければ。コイツの”叫ぶ”を書いた時は感情移入して泣きました。続き頑張ります！ (6月12日 22時) (
レス) @page50 id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - 初コメ失礼します。続編おめでとうございます！続き楽しみにしているので、頑張ってください! (6月12日 21時) (レス) id: a9c1286aea (このIDを非表示/違反報告)
ボーダーライン(プロフ) - そらさん» コメント有難うございます。2ヶ月近く更新してないので大分お待たせしてしまってすみません！完結まで構想練っているのであとは気力次第。ぼちぼちやりますかぁ！（逃げ道を絶つ）紆余曲折あると思いますがこの大長編にお付合い下さい。これでもまだ中盤なの（小声） (2023年3月27日 16時) (レス) id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 更新楽しみにしています！ (2023年3月27日 0時) (レス) @page2 id: b809f0b9bc (このIDを非表示/違反報告)
ボーダーライン(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！焦ったぁー！！気付かせてくれて本当に感謝！ (2023年1月1日 14時) (レス) id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ボーダーライン | 作成日時：2023年1月1日 14時
