六幻の宵は酔いが醒めるまで【緑黄】 (ページ2)

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昔々ね、この町の当たりに六幻様っていう神様がいたの。

　誰が六幻なんて名前を決めたかは知らないけど、昔からその呼び方。

　六幻様はね、満月の１月１日の年が変わる日に１２年ごとに現れるの。

　それでその年に、一人の人を神様にして、一人の人を生贄にするの。

　神様となった人は、次六幻様が現れる年までずっと都市の一番大きなところの一番奥で決めごとをする。

　生贄となった人は１月１日の夜明けに六幻様に眠らされて、神様となった人のそばにずっといて、次に六幻様が現れる年の前日にそっと亡くなるの。

　きっと今頃、１６年前の生贄にされた人は亡くなってるだろうね。

　でも不幸なことではないんよ、神様になった人、生贄になった人のご家族には末代までずっと大金持ちになれる。

　まぁ俺たちみたいな身寄りのないやつらは選ばれても関係ないけどね。

　あぁ、本人にもちゃんと幸せはあるよ、１月１日の夜が明けるまで、六幻様がなんでも叶えてくれるの。
　もしも「生きたい」とか「神様を辞退する」とか言ったらどうなるんだろ。

　
　ここらへんのみんなは、その１月１日に祭りをして六幻様を還元するの。

　ここら一帯。六幻様のご加護によって成り立っているところだからね。

　

　ほら、髪綺麗に染めれたよ。
　
　髪の毛のどこか一部を染めて祭りに行かないと六幻様に失礼って言われてるからね。

　なんでそんな変な顔してんのさ、聞き飽きたって～？

　確かに、みことは全部暗唱できそうだもんね。

　さて、今２０時か。冬は日が落ちるのが早いねぇ。

　じゃあ行こうか。