レンタル彼氏。 《2》

苦しい ページ4

森「大丈夫か！？！？」






剛くんの腕に抱きとめられる。





震えが止まらなかった。









「私………どうしたら……………」








あいつの所に戻る気はさらさらない。




かといって、写真を流出させることはできない。




快くん、博くん、健くんを巻き込むわけにはいかないのだ。







森「とりあえず、座ろっか。」








剛くんに引かれ、ソファへとへたりこむ。









どちらも一言も発さなかった。




さっきまで心地よかった沈黙が、既に苦しい。






お腹も空かない。






だんだん頭も痛くなってきた。






自分の中の何かが、音を立てて崩れ落ちていくのを感じた。









長い時間が過ぎた。




もう外は暗くなっているのに、私は動くことができなかった。







隣から、そっと腕が伸びてきて、私の背中をさする。





何も言わないけれど、剛くんの手は優しかった。






剛くんに触れられたところが、だんだんあたたかくなっていくようだった。







「少しだけ……泣いてもいい？」





森「もちろん……気が済むまで、そばにいるよ。」







優しく剛くんに抱きしめられる。





ふわりと香る、彼の香水の香り。





とんとん、と背中で一定のリズムを刻む彼の右手。




じわり、と涙が滲んでくる。






声も出さず、私はただただ涙を流し続けた。






私がどれだけ苦しんでいても、時は止まらない。






夜は静かに更けていった。

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