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任せた ページ12

「単刀直入に言うね。」








勇気を出して口を開く。






「私は、あなたのもとに戻る気はない。」





隼人「へぇ……じゃあ、写真はいいんだな?」





「それは…………それはしないでほしい。」




隼人「おいおい、それは都合が良すぎるんじゃない?」








馬鹿にしたように鼻で笑う隼人を見て、私の中の何かが壊れた気がした。









「都合がいいのはアンタのほうでしょ?」







思いっ切り隼人を睨み付ける。








「自分が何て言って私と別れたか覚えてないの?




一緒にいた女の人と結婚するって、そう言ったんじゃないの??」







隼人の目が泳ぐ。









「最初から好きじゃなかった。なんつーの、単なる遊び?




アンタはそう言ったの、忘れたわけ??




誰がそんな人とやり直そうと思うの!?!?」







何か言いたそうな隼人を遮って、さらに言葉をぶつける。






「それに……それにね、私は隼人のこと他人を大切にできる人だと思ってたから、好きだったんだよ?




なのに、私を傷つけて、さらには剛くんも傷つけて……。



私が好きな隼人は、そんなんじゃなかった……。」









言いながら、自然に涙が溢れて、嗚咽交じりの声になる。




隼人は、困ったように目線を外すと、小さくため息をついた。









隼人「そうだよな。」









しばらく続いた重い沈黙を破ったのは、意外にも隼人だった。







隼人「さっき、そこの男に言われてから考えてたんだけどさ。




怖がってる好きな女のそばにいてやれないのって、男として失格だよなって。



しかも、怖がってる原因俺だし……。



お前がいろんな男と一緒にいるのって



もしかしたら俺への未練から、寂しさ埋めるためにそうしてんのかなって、勝手に思ってて。



そんなの、俺の勝手な解釈だった。



実際、適当なこと言ってお前捨てたのは確かだし……お前とやり直したいってのも、なんとなくそうしたほうが楽しいかな、くらいの考えだった。





今、お前の思いを聞いて反省したよ。



なんか……ごめんな。」








眉を下げて小さく笑うと、くるりとドアのほうへ向かう隼人。







隼人「おい、そこの……剛、っていったか。」






隼人はドアノブに手をかけたまま、振り返らずに言う。







隼人「……お前が、Aを幸せにしろよ……任せた。」








そのまま、隼人は出て行った。








2人の間に、静寂が流れる。

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ゆかちょ(プロフ) - 坂本くんの続きは更新はされていないですよね?続きを楽しみにしています!頑張ってください(^^) (2018年10月1日 2時) (レス) id: 7c1873dff6 (このIDを非表示/違反報告)
細めの王子 - もうずっと悶えてます!!更新頑張ってください (2018年5月2日 15時) (レス) id: 743b1a35c6 (このIDを非表示/違反報告)
Kaedem1127(プロフ) - まだ続いてますよね?!更新おねがいします! (2018年4月9日 13時) (レス) id: 61783b8fd9 (このIDを非表示/違反報告)
フェロモン(プロフ) - 完結となっていますが坂本くんの続きと岡田くんのお話が気になって仕方ありません 更新してほしいです (2018年2月3日 20時) (携帯から) (レス) id: 323e5fefb1 (このIDを非表示/違反報告)
にのりん(プロフ) - この話を読んでて、キュンキュンしました。完結が楽しみです!更新頑張ってください!! (2016年8月20日 17時) (レス) id: 0f924e8161 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とまと缶。 | 作成日時:2016年3月9日 15時

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