ラウールの隠し事 ページ19
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『美味しいんですか？ それ。』
「…マジでなんなの、お前。 ……あ。佐久間に惚れたか」
『違っ、違いますよ！興味本位です！』
フッと鼻で笑われる。
阿部くんや佐久間さんと同い年のはずなのに大人びて見える深澤さんに、煙草は似合いすぎていて
「…やめとけ。死ぬよ、お前みたいなお人好しは。」
『別に吸いませんよ、余計なお世話です。』
「……だな。」
吐き出される白いケムリは瞬く間に空気に溶け込んで消えていく。跡形もなく…
「あ…おはよう」
「よお、めめ。お前にしては早起きじゃん」
『おはよう、目黒くん』
ガチャガチャと音を立てながら101号室の扉が開かれた。ぬ、と立つ目黒くんは「これ…」と深澤さんに一枚の紙切れを手渡した
「…三者面談」
「それ、ラウールの。多分アイツ黙っとくつもりだったんだと思う」
『そうなの？』
「……俺たちみたいなのは、こういう親が絡むイベントって避けてきたから、」
…佐久間さんが少しだけ話してくれた、目黒くんとラウールくんは施設の出だって
「…ラウールさ、俺にも学校の話しないんだ。
「……そうか」
『行ってあげたらどうですか？』
「……めんどくせぇ。」
「俺が行っても担任なんてまともに話してくれないだろうって思ったから、ふっかさん駄目かな、」
目黒くんの目は深澤さんを捕えて離さない。
長かった煙草はほとんど灰となって地面にはらりはらりと振り落とされる
「…暇だったらな」
「……うん、ありがとうふっかさん」
「…大学だろ？ 気をつけろよ」
「うん」
深澤さんは私たちに猫背を向けて髪の毛をガシガシ掻きながら102号室へ帰っていった
『目黒くん、大丈夫？』
「……俺にとってラウールは血の繋がりはないけど家族同然なんだ、アイツ一人で苦しんでほしくない…」
『…私にも出来ることあったら言ってね？』
「……俺が頼まなくてもAさんはラウールのこと守ってくれてるよ」
ふわっと微笑む目黒くんに不覚にもきゅんとしてしまったのは、……寝てないせいだろう。
大学へ行く目黒くんを見送り欠伸をひとつ。
今日は1日休みだから、そんな日こそラウールくんに『おかえり』って言えるように。
錆びた階段をウキウキした心で駆け上がる。
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Emma(プロフ) - 星10じゃ足りない！評価ボタンってなんで連打出来ないの？と思うくらい素敵な作品でした…。完結､続編おめでとうございます。何度読んでも興味深く素敵な作品だと思います｡改めまして､ひとまず､お疲れ様でした｡ (2020年9月7日 11時) (
レス) id: fe7283b053 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまそ - 読んでいてすごく楽しかったです。どんどん続きが読みたくなって完結してしまった時は楽しみが一つ無くなってしまった、と寂しくなりました。また番外編や続編が読めたら嬉しいです。他の作品も更新楽しみにしております。 (2020年8月2日 8時) (レス) id: f5b8401e26 (このIDを非表示/違反報告)
ばやし - 読みやすく引き込まれる作品は久々でした。これからも繰り返し読ませていただきます。続編見れたらな、、、と密かに願っております。 (2020年7月6日 11時) (レス) id: e0a81c1a31 (このIDを非表示/違反報告)
べぺ(プロフ) - 読むのがちょー楽しかったです。また繰り返し読みたいと思います。完結おめでとうございます！お疲れ様でした。 (2020年6月1日 20時) (レス) id: fc36e1dc04 (このIDを非表示/違反報告)
aichon(プロフ) - 完結おめでとうございます！更新されるのを楽しみにして読んでました！読みやすく引き込まれる作品をありがとうございました！次作も楽しみしております (2020年6月1日 19時) (レス) id: 48be932e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶴
| 作成日時：2020年5月10日 17時
