君 の 名 は 希 望 .2

知りたくなかった、君のスガオ(2014) ページ19

(side Shori.S)


ここ1週間の恒例となっている仕事後のAちゃんの病室通い。
いつもならここでドアを開けて、買ってきたお菓子やジュースを渡して、他愛のない会話を30分くらいして帰る。
けど、今日はいつもより1時間早く来た。
たくさん話せるぞー、なんてるんるんだったのに、俺の心は沈んでる。


病室から、…ドアの向こうから、Aちゃんと樹くんの声がするんだ。

樹「しっかし、ついに刺されたな、A！」(笑)
「いつかはこうもなるって、仕事上」
樹「傷は？大丈夫？」
「うん。樹もわざわざ来なくていいのに」

名前で呼び合うほど親しい仲なんだろうか。

樹「…最近、どうよ」
「…なにがよ」
樹「ほら、安井とか、」
「あれガセだし…本当になんにもないの。彼氏なんて、樹と別れてからいないから」



そういうことか。
謎はすぐに解けた。

樹「…そっか、」
「樹は？相変わらず遊びまくってんの？」
樹「ちょ、人聞き悪いっての」(笑)
「えー？」(笑)

2人の声を聴く限り、本物の恋人のようだった。
まるで俺の入る隙なんてないかのような。

「もう、乃木坂やめようかなー」
樹「は？何言ってんの」(笑)
「こんなことあると、さすがに自信なくすよね、」

涙を我慢してるのだろうか。
Aちゃんの声は震えてる。

樹「…大丈夫だから。Aは、いるだけでいい。それだけで存在価値が生まれるんだよ」
「…樹っ、」

俺や安井くんには涙1つ見せずに笑ってるのに、
樹くんは簡単に泣かせることが出来るんだ、Aちゃんを。

本音を吐かせることが出来る樹くんが、ちょっとうらやましくなったのと同時に、
心の底から、なにか、醜い感情がふつふつと出てきて、
俺は病室の前にコンビニの袋を置いてその場を後にした。


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まさかの元彼樹くん＼(^o^)／完全勢いｗｗｗｗｗｗ

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