君 の 名 は 希 望 .2

キミが笑えばボクは救われる(2014) ページ13

(side Kentaro.Y)

[ Aちゃんが刺された ]
そう聞かされた時の俺は、きっと異常なほどに険しい顔をしていたらしい。

そんな彼女の病室を訪れることが出来たのは、事件から5日たった今日。


ふっかや勝利は毎日のように顔を出しているみたいだけど、俺が行くとまた週刊誌に載っちゃいそうだから、と止められ、ようやく許可が出た。

コンコン、
安「Aちゃん？」

扉を開き、顔を覗かせると、振り向いた彼女。

ぱぁ、と可愛らしい笑顔を見せてくれたけどその顔はどこかやつれている気がした。

「安井くん！来てくれたんだ！」

安「なかなか来れなくてごめんね。身体、大丈夫？」
「うん！」

いつも思う。
Aちゃんが泣いてるとこなんて、あの日以来見てないや。
…あの、御霊祭りの日。

今思えば、俺告白したんだっけ(笑)

今でも、愛しく思うよ。

けど、今回みたいなことに、また巻き込まれてほしくない。
女性を商売相手とする仕事で、女関係のスキャンダルが出たら相手の方に負担がかかることなんてわかってる。俺がAちゃんのファンから言われたことなんて、どうってことない。
俺は男だから、自分の身を守れる。23歳にもなったしね。
けど彼女は、まだ18歳。か弱い女の子。

「安井くん？おーい！」
安「え？あ、あぁ」
「座んなよ、ほら!」

この笑顔を、俺は守ることが出来るのだろうか。


安「Aちゃん、」
「ん？」
安「Aちゃんの笑顔は、世界を救うよ」
「はー？安井くんなに言ってるの？」(笑)


本当はね、
Aちゃんの笑顔に1番救われているのは
俺かもしれない。


　「やっぱり大好きだよ」

伝えたくなったその言葉を、今はただ、胸の奥に秘めておこう。


(安井くん、縮んだ？)
(縮んでないから！)
(冗談だし、そんな怒らないで！！)

(やっほー、Aちゃーん！あれ…安井？)

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