気づかない君が悪い (ページ9)

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特別では無い…はずページ9

職業柄アイドルのメイクをする上で近距離で接することはあれど、不意に近づいた距離としてはなかなかに近くて驚いてしまった……だけ。

他意はない。

にしても、いつも見てはいるけど綺麗な顔だった。

寝惚けなまこで考えてしまうぐらいには気にしているけれど、ときめきまでは行かないと思う。

いや、まだ振られたばかりだそ自分。
尚且つ、相手はアイドル。

『いや、ないな』

顔を洗って見上げた先の鏡にはビシャビシャになったマヌケな顔の私。

可哀想なおばさんを慰めてくれたんだ。
アイエンもリノも優しい子たち。

のんびりしているとやもう家を出ないといけない時間になっていてノーメイクで慌てて家を出る。

スッピンを晒さないよう、帽子を深く被ってマスクして完全に不審者スタイル。

何とか必死になって会社に着いたけれど、
息が上がりまくり、汗かきまくりで受付のお姉さん引いてた気がする。

でもまぁ、こんなカッコで私だと気づく人はまぁ居ないだろうから急いでメイクをしないと……

in『あれ、Aヌナ？』

『え、イエナ……』

in「やっぱりヌナだ！なんでそんな格好してるの？」

まさかの、アイエンと遭遇。

というか、なんでわかったのと突っ込みたくなった。
なかなか酷い格好で顔も見えないのに……

『お、おはよ。寝坊しちゃって……』

in「そうなんだ、珍しいね？昨日結構酔っ払ってた？｣

『やー、そうでもないけど…まぁなんとゆうか』

汗だくだしスッピンだしで割と気が気じゃないからかモゴモゴはなしてしまって、逆に不審がってる。

in「大丈夫？体調悪いとかじゃない？」

『うん全然！ちょー元気だから大丈夫だよ！じゃ、後でねっ』

in「あ、ヌナ危ないっ」

そそくさと逃げようとしたら、後ろから台車が来ていることに気づかなくて驚いて体制を崩してしまう。

が、転ぶには至らず気づいたらアイエンに抱きしめられているような形で支えられていた。